年収1200万円以上の高所得世帯は、児童手当が廃止になると聞いた。今後どう変わるのか、詳しく知りたい。
本記事は、そんなニーズにお応えする内容です。
2020年2月2日、政府は「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、これまでの児童手当の所得制限(収入制限)が見直される方針になりました。
それによって何がどう変わる予定なのか、タイムリーな情報を分かりやすくお届けするために、今回は短めのQ&A形式で解説していきます。
現在の児童手当に関するルールについて
児童手当の支給内容は?
児童手当(旧子ども手当)は、「中学校卒業までの児童を養育している世帯」に行政から支給される手当で、基本となる金額は下記の通りです。
児童手当の本来の金額
所得制限(収入制限)のルールは?
児童手当には「所得制限(収入制限)」のルールがあり、養育者の収入が一定以上ある場合は「特例給付」という形で減額された金額を受け取ることになります。
その場合は、下記の通り児童の年齢に関係なく一律の金額になっています。
児童手当の「特例給付」の金額
また、所得制限の具体的な金額は「扶養親族の人数」と「各種控除」をもとに算出されますが、目安となる金額は下記の通りです。
所得制限の限度額(平成24年6月分~)
モデルケースとして「世帯主が専業主婦(夫)・子ども2人を扶養している場合」は扶養親族等の数が「3人」になので、年収960万円以上が目安となります。
※上記はあくまでも目安で、実際は各種控除を差し引いた「所得」で判断されます。詳細は、こちらの記事でご確認ください。
今回の改正で変わる内容について
高収入(高所得)の世帯は児童手当がもらえなくなるの?
結論から言うと、その通りです。
これまでは、前述の所得制限(収入制限)を超えたかどうかで判断されるため、極端に言えば年収2千万円でも1億円でも「特例給付」を受給することができました。
しかし今回の改正により、一定の収入を超えると特例給付も受給できないことになってしまいました。
改正後の年収に応じた給付金額のイメージ図(扶養親族3人の場合)
「所得制限をオーバーした中でも年収1200万円を超えるような高所得世帯は、原則として児童手当を一切受給することができない」というわけです。
これによって給付が打ち切りになる子供の数は約61万人と試算されており、決して軽微な影響とはいえません。
1200万円を超えたら、全くもらえなくなるの?
いいえ、ケースバイケースとなりそうです。
基本的にはそのようになりますが、上図はあくまでも扶養親族3人というモデルケース。
扶養親族の人数(配偶者+子供の人数)で変わってきます。
また、各種控除の金額によっても変わることになるでしょう。
詳細は実際に法案が成立してから決まるようですが、弊社で独自に計算した目安となる所得制限額は以下の通りですので、ご参考ください。
※閣議内容の詳細は公表されておらず、詳細は確定していないため、各メディアの報道に基づいて独自に算出しています。上図と大きく異なる金額になる可能性もありますので、ご注意願います。
収入を「世帯合算」でカウントするという話も聞いたけど、本当?
いいえ。これまで通り、養育者のうち「収入が高い人」をベースに判定されます。
養育者の収入を合計して「世帯年収でカウントする」案は実際に検討されたのですが、世論や与党内での反論が強く、見送りとなりました。
ただし、近い将来に世帯合算ルールが採用される可能性も十分ありますので、注意が必要です。
改正される時期はいつから?
予定では、2022年10月の支給分から改正となるようです。
あくあでも予定であり、実際は法案が通ってからスケジュールも決まりますので、ご注意ください。
終わりに
以上、この度の閣議決定のニュースを受けて簡単にまとめました。
閣議決定ということで「法案が国会に提出される」ことはほぼ確定しましたが、必ず法案が成立するわけではありません。
今回の改正により確保した(浮いた)年370億円程度の財源を待機児童解消事業に充てる方針のようですが、世論の反発は相当強いと考えられます。
状況次第では方針転換の可能性もありますので、今後の動向を見守りましょう。
なお、改正が実現した場合に影響を受ける方が「備えておくべきこと」についてこちらの記事で触れていますので、ご参考ください。
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