積立型の生命保険を進められているけど、「予定利率」って何?
この記事は、そんな疑問をお持ちの方向けの内容です。
まずは、今の予定利率がどれくらいなのか、クイズを解いてみましょう!
(とにかく、“簡単に・分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。ご容赦ください。)
【クイズ】
積立型の生命保険は、保険商品毎の「予定利率」によって戻り率が決まります。
予定利率を決める上での基準として「標準利率」を国が設定していますが、2020年11月時点では何%でしょうか?
① 1.5%
② 0・75%
③ 0.25%
↓↓↓
↓↓↓(答えはこちら)
↓↓↓
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
正解は、③です。
いかがでしょう?
想像以上に低い利率で驚いた方もいるかもしれませんし、銀行預金よりはだいぶ高い利率だなと感じた方もいるかもしれませんね。
保険の利率についてはちょっとややこしいので、用語から一つずつ説明していきたいと思います。
予定利率とは
積立型の保険は、商品毎に「予定利率」という「契約者に約束する利回り」を決めています。
その利率に基づいて、保険料(掛け金)・保険金額(保障額)・解約返戻率(戻り率)などが算出されます。
(他にも、予定死亡率や予定事業費率も関係しますが、ここでは割愛します。)
そもそも積立型の保険は、契約者から預かったお金を保険会社が運用し、満期の時や解約する時に「約束したお金を渡す」という商品。
よって、保険会社が運用する時の利回りである予定利率は、
高ければ高いほど「掛け金は安く・保障額は大きく・戻り率もアップする」ことになります。
逆に、低ければ低いほど「掛け金は高く・保障額は少なく・戻り率もダウンする」という訳です。
保険の「コスパ」を決める大事な要素であると覚えておきましょう。
標準利率とは
予定利率は、国(金融庁)が定める「標準利率」に基づいて各保険会社が決定しています。
保険では必ず、保険会社が将来の保険金支払いのために、掛金の一部を「責任準備金」として積み立てています。
「標準利率」は、その責任準備金を運用する時に用いる利回りの「基準値」として定められているのです。
月々もしくは毎年掛け金を払っていく「平準払」の保険は、毎年10月に見直しが実施され、「10年国債利回り」の3年平均・10年平均の低い方をもとに利率が決まります。
もし利率が改定される場合は、翌年4月から新しい利率が適用されます。
なお、契約時に一括で掛け金を支払う「一時払」保険は、毎年1月・4月・7月・10月に見直しが実施され、用いる平均利回りも異なります*。
※利回りの3か月平均・1年平均の低い方(一時払終身保険の場合は「10年国債利回り」だけでなく「20年国債利回り」も利用)
商品毎の予定利率を標準利率に合わせるかどうかは保険会社の経営判断によるので、保険に加入する一般生活者がすぐに影響を受けるとは限りませんが、、、
基本的に「標準利率」のアップダウンが、商品の利回りに大きく影響すると認識しておきましょう。
今の予定利率・標準利率は、高いの?低いの?
銀行預金の金利とは、全くの別物
弊社にご相談で来られる方にも、予定利率のことを「預貯金を運用する時の金利」と同じように捉えている方がよくいらっしゃいます。
そうすると確かに、予定利率1%の終身保険や標準金利が1%という数字を見ても、「銀行預金よりはだいぶマシじゃん」と感じてしまいますね。
しかし、実際は全く異なります。
銀行預金の金利は、単純に預け入れたお金に対して付与される利息の割合のこと。
保険の予定利率は、掛け金に対して付与される利息の割合ではなく、前述の通り保険料等を決めるための一つの要素です。
保険商品を選ぶ際に、銀行預金の金利と比較検討しないよう、注意してください。
※一部の一時払保険商品等では、「積立利率」という数値を出している場合があります。こちらはコスト等を差し引いた後の掛け金を運用する利回りなので、預貯金の金利に近い性格を持っています。
現在の標準利率は、過去最低
ではまず、過去の標準利率と比較してどうかを見てみると、実は「過去最低」です。
2017年4月に、マイナス金利導入に伴う長期金利の低下等の影響を受け、平準払保険の標準利率が1%→0.25%へ引き下げとなりました。
また、2020年1月からは一段と長期金利が低下している状況をふまえ、一時払終身保険の標準利率が0.25%→0%に引き下げられました。
未曽有の利回り低下が続いている状態です。
合わせて、予定利率も過去最低に
上記の標準利率の改定を受け、各保険会社は変額保険・外貨建保険を除くほとんどの保険の予定利率を引き下げました。
保険会社によりますが、0.5~0.85%程度に引き下げたケースが多いようです。
結果として保険料(掛け金)がアップし、解約返戻率(戻り率)も悪化。
これはあくまでも大まかな数字ですが、、、
2017年4月の改定から2018年にかけて、多くの保険商品で、保険料は10~20%程度アップし、解約返戻率は5~10%程度悪化しました。
保険商品を選ぶ時に覚えておきたいこと
普段専門的に保険を扱う方以外には、少々ややこしい話をしてしまいました…
基本的には、今回のテーマである「予定利率」は参考程度に覚えておけば良いと思います。
将来上がるか・下がるかは誰も完全に予測することはできませんし、保険に加入する場合には、置かれた状況でベストなものを選ぶしかないからです。
ちなみにですが、前述の標準利率・予定利率の改定は、終身保険・養老保険だけではなく、学資保険や個人年金保険等の商品にも大きな影響が出ました。
当時のニュースでも、「学資・年金保険料上げ」というタイトルがよく出ていましたが、ある保険会社の業界最高水準だった学資保険でさえ、最終的な戻り率が「10%程度」も下がってしまったほどです。
(あくまでも、一定の年齢・性別による概算なので、正確な数字ではありません。生命保険はその商品毎に年齢・性別で大きく内容が異なります。ご注意ください。)
早々に販売中止としたり、戻り率が100%に満たない学資保険など“あきらめモード”の商品を出すケースありますが…
各保険会社も主力商品については、事業費を切り詰めるなどの効率化で保険料の上げ幅を抑えようと企業努力を続けています。
保険を選ぶ際は、1つの保険会社・保険商品で決めることなく、しっかりと幅広く情報収集をした上で判断すると良いでしょう。
最後にもう一度繰り返しますが、予定利率と銀行預金の利率は別物ですから、比較検討する際に混同しないようにしてくださいね!
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