お金の基礎知識

年末調整「対象外」の控除って何?

「医療費控除とか生命保険料控除とかいろいろあるけど、全部年末調整で済ませられるのかな?(「対象外」の場合ってあるの?)」

「確定申告が必要な、所得控除や税額控除について知りたい!」

この記事は、そんな疑問をお持ちの方向けの内容です。

会社員・公務員の方が毎年10~11月頃に手続きをする、年末調整。

これを済ませることで、自営業の方などがしなくてはならない「確定申告」が不要になる、便利な制度です。

ただ、一部の「控除」を利用する場合には年末調整の「対象外」となり、自ら確定申告をする必要があります。

状況によって手続きが大きく変わってきてしまいますので、何が対象で何が対象外なのか、具体的に見ていきましょう!

(とにかく、“簡単に・分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。ご容赦ください。)

そもそも年末調整とは

まず初めに、年末調整そのものについて、ザックリと確認しておきましょう。

日本国民には納税の義務があり、税金の計算と納付は各自でするのが原則ですが、

会社員・公務員の場合は「源泉徴収」「年末調整」の仕組みで、会社がそれを代行していくれています。

税金は1~12月で締めて、翌年2~3月に納付するものですが、「源泉徴収」の仕組みでは「毎月、およその税金を先払いしている」状態になっています。

最終的に払う税金は、収入の変化や家族構成・各種控除の利用状況によってブレが生じるので、

「既に納めた税金」と「本来納めるべき税金」の過不足を埋めるために「年末調整」を実施するのです。

ブレる原因をできるだけ正確に把握するために、家族構成や控除証明書の提出が求められる訳ですね。

年末調整「対象」の各種控除

次に、年末調整の対象となる各種控除をザっと見ておきましょう。

いわゆる控除には、大きく分けると「給与所得控除」「所得控除」「税額控除」と3種類ありますので、順番に解説します。

給与所得控除

給与所得控除は、会社員・公務員の方に認められる「必要経費」の位置づけになっています。

自営業の方であれば、売上から必要経費を差し引いて「所得」を計算するのですが、

会社員・公務員の方は必要経費を算定するのが難しいので、上記の「給与所得控除」の金額を一律で経費として差し引き、「所得」を計算することになっているのです。

年末調整をする際には、この給与所得控除は自動的に差し引かれています。

会社からもらう源泉徴収票に「給与所得控除後の金額」と表示されているはずで、基本的にはそこを見ていただければ、自分で計算する必要はないのでご安心ください。

所得控除

所得控除は、家族構成や社会保険・生命保険の掛け金など個人の事情をふまえて、前述の「所得」から一定の金額を差し引くことができる制度です。

※所得控除を差し引いた後の所得を「課税所得」と言います。

「所得控除」を使える金額は人によって異なるのと、項目ごとの性格上(おそらくプライバシー的な観点からも)、年末調整の対象・対象外が分かれています。

対象となる所得控除の種類は下記の通り。

  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除(一般、介護医療、年金)
  • 地震保険料控除
  • 障害者控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除

今回は対象外をメインに解説するため、それぞれの詳細については割愛します。

税額控除

税額控除とは、前述の「課税所得」に応じた税率をかけて出てきた「仮の税額」から、一定の金額を差し引くことができる制度です。

こちらも所得控除と同様、年末調整の対象・対象外が分かれていますが、下記一つだけとなっています。

  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の2年度目以降

とにかく、「住宅ローン控除の2年目からは年末調整でOK!(確定申告しなくて良い!!)」と覚えておきましょう。

年末調整「対象外」の各種控除

いよいよ、年末調整の「対象にならない」控除についてお伝えします。

所得控除

  1. 医療費控除
  2. 雑損控除
  3. 寄附金控除

①の医療費控除は、使った医療費の一部を所得控除できる制度です。

②の雑損控除は災害や盗難等の被害を受けた場合に、一定の所得控除を受けることができる制度。

③の寄附金控除は、国や各自治体・特定の法人等に寄附をした場合に、一定の金額が所得控除として認められる仕組みです。

上記3つは年末調整の対象外となっており、確定申告で証明書等を提出する必要がありますので、ご注意ください。

※ふるさと納税も「寄付金控除」の一つですが、ワンストップ特例という特別な制度を使うと確定申告は不要になります。

税額控除

  1. 配当控除
  2. 外国税額控除
  3. 寄附金特別控除
  4. 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の初年度

おそらく①~③については、該当する方はごく稀だと思います。

④の住宅ローン控除の「初年度は年末調整対象外!」ということだけ、ぜひ覚えておいてくださいね。

 

いかがでしたでしょうか?

上記を読んでいただけると、年末調整の対象になる「控除」かどうか、大抵のことは解決できるはずです。

ただ、今回は説明しきれませんでしたが、年収等に応じて「そもそも年末調整を利用できない(確定申告が必須)」というケースもあります。

そのあたりは、別の機会にとりあげたいと思います。

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