再就職手当は、早期に安定した就職をした人を支援するための制度ですが、すべての人が必ずもらえるわけではなく、さまざまな条件や手続き上の注意点があります。
この記事では、再就職手当のしくみや失業手当との違いなどについて詳しく解説します。
再就職手当について知りたい方は、どうぞ最後までご覧ください。
再就職手当とは?制度の基本をわかりやすく解説

再就職手当の目的と制度概要
再就職手当とは、雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を受給している人が、給付日数を残した状態で早期に再就職した場合に支給される一時金です。
失業手当は、本来「失業中の生活を支える」ための給付ですが、再就職手当はそれとは異なり、早期に安定した雇用についた人に対して支給される制度です。
失業手当(基本手当)との違い
再就職手当と失業手当(基本手当)は、同じ雇用保険制度に基づく給付ですが、性質は大きく異なります。
| 項目 | 失業手当(基本手当) | 再就職手当 |
|---|---|---|
| 目的 | 生活保障 | 早期再就職の促進 |
| 受給条件 | 失業中かつ積極的に就職活動をおこなっていること | 一定の要件を満たし、早期に再就職すること |
| 支給方法 | 原則4週間ごとの失業認定後、分割で支給 | 再就職後、審査を経て残日数分を一括支給 |
| 支給額 | 離職時の賃金などに応じた基本手当日額に基づき支給 | 失業手当の支給残日数に応じてその60%または70%を支給 |
「失業手当」と「再就職手当」を同じ期間に両方受給することはできません。
ご自身のケースではどちらが得策なのか見極めてから申請しましょう。
ここからは、再就職手当の受給条件についてさらに詳しく解説していきます。
再就職手当の受給条件とは?

再就職手当を受け取るためには、受給条件をすべて満たす必要があります。
ここからは条件に付いて詳しく解説していきます。
受給資格がある人の基本条件
再就職手当は、「失業手当をもらえる立場にある人」が対象です。
- 雇用保険の受給資格者であること
- ハローワークで求職申込みをしていること
- 基本手当の支給残日数が一定以上あること
雇用保険に未加入だった人や、そもそも失業手当の対象外の人は受給できません。
待期期間・給付制限
失業手当には「7日間の待期期間」や「自己都合退職の場合の給付制限期間(原則1ヵ月)」がありますが、再就職手当についても同様です。
離職日前1年以内、または離職期間中にハローワークが指定する教育訓練を受講した場合は、自己都合退職でも給付制限が免除される可能性があります。
就職先に関する条件(雇用形態・雇用期間)
就職先に関する条件は以下のとおりです。
- 1年を超えて継続して雇用される見込みがあること
- 雇用保険の被保険者となること
- 以前の勤務先と資本・資金・人事・取引面で密接な関係がないこと
短期契約や、更新の可能性が極めて低い契約の場合は、再就職と認められないケースがあるので注意しましょう。
支給対象外となる主なケース
以下のような場合は、再就職手当の対象外となります。
- 待期期間(7日間)中に就職した
- ハローワークの紹介以外で、条件を満たさない就職をした
- 以前の会社に再就職した(関連会社含む)
- 過去3年以内に再就職手当を受給したことがある
「就職が決まった=必ずもらえる」わけではない点は、しっかり押さえておく必要があります。
再就職手当はいくらもらえる?支給額の計算方法

支給率の考え方(60%・70%の違い)
出典:ハローワークインターネットサービス「再就職手当のご案内」
再就職手当の支給額は、「基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率」で計算されます。
支給率は以下の2パターンです。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上 → 70%
- 支給残日数が3分の1以上 → 60%
早く再就職するほど、支給率が高くなるしくみです。
支給額の計算式とシミュレーション例
以下の場合で支給額を計算してみましょう。
【基本手当日額:6,000円、所定給付日数:90日の場合】
ケース① 失業手当の受給開始から30日で再就職した場合
・支給残日数:60日
・支給率:70%
6,000円 × 60日 × 70% = 252,000円
ケース② 失業手当の受給開始から60日で再就職した場合
・支給残日数:30日
・支給率:60%
6,000円 × 30日 × 60% = 108,000円
再就職手当の申請方法

申請のタイミングと期限
再就職手当は、原則として就職日の翌日から1か月以内に、ハローワークへ申請する必要があります。
期限を過ぎると支給されない可能性があるため、就職が決まったら早めに手続きを進めましょう。
申請に必要な書類とハローワークでの手続き
主に必要となる書類は以下のとおりです。
- 再就職手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 採用証明書
- 失業認定申告書
- 出勤状況がわかる書類
これらをそろえて、管轄のハローワークに提出します。
パート・アルバイトで再就職した場合の扱い
パートやアルバイトでも、以下の場合は再就職手当の支給対象になる可能性があります。
- 雇用保険に加入
- 1年以上の雇用見込み
一方、短時間・短期間のパート・アルバイトは対象外になるケースが多いです。
まとめ

再就職手当は、早期に安定した就職をした人にとって、非常に心強い制度です。
ただし、いくつかある支給要件をすべて満たしていないと支給されません。
「もらえるはずだったのに、知らなかったせいで受給できなかった」ということがないよう、事前に条件を確認し、ハローワークと連携しながら手続きを進めることが何より大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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