このような不安や疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。とくに近年は、国や自治体が“教育費の負担軽減”を目的にさまざまな無償化制度をおこなっています。
この記事では、2025年時点で利用できる教育費無償化制度を「幼児」「小中学生」「高校」「大学・専門学校」ごとにわかりやすく解説。 これから子育てが本格化するご家庭や、進学を控えるお子さんをお持ちの方に役立つ最新情報をお届けします。
教育費ってどれくらいかかるの?

幼児から大学までの教育費、大きな負担に
子ども一人を大学まで通わせると、教育費だけで公立でも1,000万円前後、私立だと2,000万円を超えるとも言われます。
では具体的にどれくらいかかるのか、幼稚園から大学までの教育費の平均費用をみてみましょう。
※幼稚園から高校までは「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」を含めた場合の学習費総額、大学は自宅通学の場合であることをご承知おきください。
【公立】
- 幼稚園:年間約18万円×3年=約54万円
- 小学校:年間約34万円×6年=約204万円
- 中学校:年間約54万円×3年=約162万円
- 高校:年間約60万円×3年=約180万円
《幼稚園~高校卒業まですべて公立の場合=約600万円》
【私立】
- 幼稚園:年間約35万円×3年=約105万円
- 小学校:年間約183万円×6年=約1,098万円
- 中学校:年間約156万円×3年=約468万円
- 高校:年間約103万円×3年=約309万円
《幼稚園~高校卒業まですべて私立の場合=約1,980万円》
【大学の平均費用(入学費用+4年分の在学費用)】
※在学費用は学校教育費(授業料・通学費・教科書代など)と家庭教育費(塾など)を合わせた費用です。
- 国公立大学:総額約483万円(入学費用 約67万円+1年の在学費用 約104万円×4年)
- 私立文系大学:総額約690万円(入学費用 約82万円+1年の在学費用 約152万円×4年)
- 私立理系大学:総額約821万円(入学費用 約89万円+1年の在学費用 約183万円×4年)
出典:日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」
上記はあくまでも自宅通学のケースなので、自宅外から通う場合や、選択する学部によって(私立医歯系など)はさらに高額な費用が必要になる可能性もあります。
家計にとって長期間にわたる大きな出費となるのは言うまでもなく、早めの情報収集と計画的な準備が求められるでしょう。
教育費の無償化制度
子どものいる家庭で教育費用が大きな負担になっていることを踏まえ、政府は家計負担の軽減や少子化対策の一環として、教育費の無償化制度を導入しています。
次の章からは幼稚園・保育園~大学までの無償化制度について、2025年6月時点での最新情報をお伝えします。それぞれの無償化制度について確認しておきましょう。
幼児教育・保育の無償化制度

3〜5歳児は原則無償化。ただし対象施設に注意
2019年から始まった「幼児教育・保育の無償化」は、3歳〜5歳の子どもを対象に、幼稚園・認可保育園・認定こども園などの保育料が原則無償となる制度です。
【対象施設】
- 幼稚園(子ども・子育て支援制度対象)
- 認可保育所
- 認定こども園
- 地域型保育
- 企業主導型保育事業
【対象年齢】
- 3~5歳児クラス(満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間)
ただし、子ども・子育て支援制度対象になっていない施設は完全無償とはならず、国が定めた上限額(月額2.57万円など)までの補助にとどまります。さらに、通園送迎費や給食費、課外活動費などは補助対象外のため、家庭での負担が一部残る点には注意が必要です。
施設によって無償化の対象となるかどうかが異なるため、入園前に施設が制度対象になっているか必ず確認しましょう。認可外施設でも「保育の必要性」が認められる場合には補助対象になる場合があります。
0〜2歳児も条件次第で無償に
0〜2歳児については、住民税非課税世帯に限って、認可保育園・認定こども園での保育料が無償となります。共働きで保育の必要性がある世帯でも、所得により支援の有無が分かれるため、注意が必要です。
保育所等を利用する最年長のこどもを第1子とカウントして、第2子は半額、第3子以降は保育料が無償になります。ただし、年収360万円未満相当世帯の場合、第1子の年齢は問われません。
小学校・中学校の教育費無償化制度

国公立の授業料は無償
小学校、中学校は義務教育のため、国公立学校の授業料と教科書代は親の年収などの要件もなく完全無償化されています。
ただし国公立学校の場合においても、学用品費・遠足・修学旅行・制服・体操服などは基本的に自己負担です。
私立小中学校の費用は?
私立学校の場合、授業料は原則自己負担です。ただし一部の自治体では所得制限に応じた補助金制度を設けているところもあります。
また、入学金や授業料、施設費などが減額または免除される「特待生制度」が設けられている私立学校もあります。
ただし特待生として認定されるには“試験や内申書の成績がいずれも上位でなくてはならない”などの要件があるので確認しておきましょう。
高校の授業料はどこまで無償?

2025年4月から高校無償化制度が改定
高校無償化制度(高等学校等就学支援金制度)は2025年4月から、これまでの所得制限が撤廃され、公立・私立を問わず一律年間11万8,800円支給されるようになりました。
この支援金は、学校が生徒本人に代わって受け取り授業料に充てる仕組みなので、生徒や保護者が直接受け取れるわけではありません。
ここからは公立、私立の学校ごとに詳しくみてみましょう。
国公立高校は2025年~授業料完全無償化
2025年4月より高校授業料の支援金制度が改定され、国公立高校の授業料は収入に関係なく、年間11万8,800円支給されます。この金額は公立高校の授業料相当額のため、全世帯を対象に実質無償化になりました。
ただし、入学金や制服、教材費、部活動費などは別途負担が発生します。
私立高校も支援の対象に!「就学支援金制度」
前述したように、2025年4月から公立私立を問わず所得制限なしで年間11万8,800円が支給されるようになりました。
さらに2026年4月からは私立高校を対象に加算されている就学支援金の上限額の所得制限を撤廃し、支援金を年間39万6,000円から45万7,000円へ引き上げる方向で検討が進められています。
これは私立高校の授業料の全国平均相当額になるため、実施されれば2026年度以降は私立高校においても授業料が実質無償化されることになります。
高校授業料の支援金制度は申請しないと支援が受けられないため、在学する高校や自治体からの案内をよく確認することが重要です。 書類の不備や提出期限切れには注意しましょう。
公立、私立それぞれ自治体ごとに問い合わせ先が異なりますので、以下をご参照ください。
公立高等学校における就学支援金(現行制度)の問合せ先
私立高等学校における就学支援金(現行制度及び旧制度)の問合せ先
大学・専門学校の「無償化」新制度

子ども3人以上の多子世帯は授業料無償化に
2025年4月からスタートしたのが、多子世帯(子ども3人以上)向けの大学・短大・専門学校無償化制度です。 対象者は入学金・授業料が全額または一部免除される仕組みになっています。
2024年度までは、多子世帯への支援に世帯年収600万円という所得制限が設けられていましたが、2025年4月からは子ども3人以上を扶養する世帯であれば、所得制限なく支援を受けることが可能になりました。
国が定める支援金の上限額は以下をご参照ください。
国公立 | 私立 | |||
入学金 | 授業料 | 入学金 | 授業料 | |
大学 | 28万円 | 54万円 | 26万円 | 70万円 |
短期大学 | 17万円 | 39万円 | 25万円 | 62万円 |
高等専門学校 | 8万円 | 23万円 | 13万円 | 70万円 |
専門学校 | 7万円 | 17万円 | 16万円 | 59万円 |
ただしこの制度を利用するためには「3人以上の子どもが同時に親の扶養に入っている」ことが条件となります。
子どもが3人以上いても第1子が就職して扶養から外れ、扶養する子どもが2人になってしまった場合などは制度の対象外となってしまうため注意が必要です。
多子世帯の大学無償化制度を利用するためには「授業の出席率」や「取得単位数」など一定の学業要件を満たす必要があります。詳しくは以下をご参照ください。
出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度の学業要件について」
子ども2人以下の無償化の条件は?
2025年度の大学無償化制度の拡充では、子ども2人以下の世帯は対象外ですが、2024年までの制度が適用されます。ここで現行の制度を確認しておきましょう。
世帯年収目安 | 授業料等減免 | 給付型奨学金 |
---|---|---|
約270万円未満(住民税非課税世帯) | 全額支援 | 全額支援 |
約300万円未満 | 3分の2支援 | 3分の2支援 |
約380万円未満 | 3分の1支援 | 3分の1支援 |
約600万円未満 | 4分の1支援等(私立学校の理工農系) | - |
さらに詳しい要件を知りたい方は以下もご参照ください。
出典:文部科学省「支援措置の対象となる学生などの認定要件について」
現行の大学無償化制度では、世帯収入に応じた所得制限が設けられています。支援内容は授業料・入学金の減免と給付型奨学金の支給が基本となり、世帯の収入状況によって支給額が変動する仕組みです。

まとめ

教育費はお子さんのいらっしゃる家庭にとって大きな出費ですが、国や自治体の支援制度を活用すれば、負担を大きく軽減することが可能です。 とくに近年では、大学無償化の対象拡大や高校の支援強化など、大きな制度変更となっていますので事前に確認しておきましょう。
教育費などのご相談は、FPオフィスあしたばへお気軽にお問合せくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【あしたばライター:藤元綾子】
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なiDeCo活用法と注意点」から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
大好評の「無料iDeCoセミナー」も随時開催中!
↓↓↓弊社推奨の「融資(貸付)型クラウドファンディングのプラットフォーム」はこちら↓↓↓
