大学の無償化制度で授業料が安くなるの?
給付型奨学金を利用しながら、さらに入学金・授業料の減免制度も利用できる?
今回はそんな疑問を持つ方向けの内容です。
前回の記事では大学の無償化制度の概要と給付型奨学金について解説しました(↓)
大学の無償化制度は①給付型奨学金と②入学金・授業料の減免の2つが主な支援内容であり、今回はその中の②入学金・授業料の減免について解説します。
なお、大学無償化制度の正式名称は「高等教育の無償化制度(修学支援新制度)」ですので、以後は高等教育の無償化制度と表記します。
給付型奨学金と入学金・授業料の減免それぞれの制度の内容を理解し、必要に応じて高等教育の無償化制度を利用しましょう。
入学金・授業料の減免制度について
経済的な理由で進学を諦めないように、大学や専門学校に進学(もしくは在籍)する学生に金銭的な支援を行うのが高等教育の無償化制度です。
高等教育の無償化制度の1つに入学金・授業料の減免制度が含まれています。
入学金・授業料の減免制度によって、大学等に支払う入学金や授業料からいくらかの金額が免除もしくは減額されます。
学費の負担が軽くなるため、経済的な不安を抱える世帯には非常にメリットが大きいのが入学金・授業料の減免制度の特徴です。
免除・減額される金額はいくら?
実際に支援を受けられる金額(免除もしくは減額される金額)は、以下の条件によって異なります。
- 世帯の収入
- 進学先の学校の種類(大学・短期大学・高等専門学校・専門学校のいずれか)
- 国公立か私立か
- 昼間制か夜間制か
ここでは昼間制の学校に通う住民税非課税世帯の学生の授業料等減免の上限額(年額)を解説します。
国公立 | 私立 | |||
入学金 | 授業料 | 入学金 | 授業料 | |
大学 | 約28万円 | 約54万円 | 約26万円 | 約70万円 |
短期大学 | 約17万円 | 約39万円 | 約25万円 | 約62万円 |
高等専門学校 | 約8万円 | 約23万円 | 約13万円 | 約70万円 |
専門学校 | 約7万円 | 約17万円 | 約16万円 | 約59万円 |
(参考:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」)
なお、ここで注意したいのが上記の表は授業料等減免の上限額であるという点です。
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は、上記の表の1/3もしくは2/3の金額が免除もしくは減額ですので注意しましょう。
文部科学省の「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の入学料は24万9,985円、授業料は90万4,146円です。
つまり、上記の表と照らし合わせて考えると、住民税非課税世帯の学生の場合、高等教育の無償化制度の入学金・授業料の減免を利用することにより、学費としての実質的な負担はほとんどありません。
家計を考えると大学等への進学が難しい場合でも、高等教育の無償化制度を利用することで、学生が安心して進学することができます。
高等教育の無償化制度を利用する際の3つの注意点
世帯収入が基準額を下回る世帯の学生が利用できる高等教育の無償化制度ですが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。
学費の負担を大きく軽減することができる重要な制度ですので、申込前に詳細をきちんと確認しておきましょう。
注意点1:給付型奨学金と入学金・授業料の減免はそれぞれ申込が必要
何度もお伝えしている通り、高等教育の無償化制度は①給付型奨学金と②入学金・授業料の減免の2つの仕組みから構成されています。
どちらか一方だけも利用も可能ですが、制度の対象者であれば両方の制度をぜひ利用しましょう。
しかし、そのためにはそれぞれ申込手続きが必要です。
給付型奨学金は一般的に4月と9月の年2回の申込時期が設定されています。
また、入学金・授業料の減免は学校が定める時期に申込を行う必要があり、「うっかり忘れていた」という事態は避けたいものです。
申込手続きは原則として在学している学校を通じて行いますので、忘れず手続きを行いましょう。
注意点2:成績次第では支援が打ち切られることも
高等教育の無償化制度は学生の学びを支援する制度です。
そのため、しっかりとした学習意欲を持っていなかったり、授業への出席率が著しく低い場合には支援を打ち切られることもあります。
一度、高等教育の無償化制度の対象者になって制度を利用したとしても、その後も継続して学び続ける気持ちを持ち続けたいですね。
注意点3:何度も申し込むことが可能
例えば大学進学時に高等教育の無償化制度に申し込んだものの、世帯収入が基準額を上回っていたため、制度を利用できなかったとします。
しかし、在学中に家計が急変し、世帯の経済状況が大きく変わったといった場合は再度申し込むことが可能です。
先述のように、給付型奨学金は年2回の申込時期が設けられていますが、家計が急変したといった場合は随時申込が可能です。
保護者の失業や災害など、さまざまな理由で家計が急変することが想定されます。
世帯の状況や学業状況を確認しながら、高等教育の無償化制度が利用できないか確認しましょう。
まとめ
前回と今回の2記事にわたって、高等教育の無償化制度について解説しました。
この制度は、本当は進学したいものの、「家計が厳しいから就職する」などと、学生が学びを諦めてしまうことがないよう支援するものです。
学生がいる世帯であれば、「できるだけ子供の希望を叶えてあげたい」と考え、コツコツと教育資金を準備している人も多いでしょう。
しかし、さまざまな理由で準備できないことも想定されます。高等教育の無償化制度の対象世帯であれば、積極的に制度の利用を検討しましょう。
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