時事ネタ

11月の株価急上昇を振り返って

2020年11月は、世界の各株式市場で記録的な株価上昇が相次ぎました。

新型コロナウイルスの感染再拡大など、経済の先行きが不透明な中での急上昇に「なぜ?」と感じる方も多いはずです。

そんな方のために、今回は市況についてザックリとですが解説しますのでご参考ください。

2020年11月の主要な株価指数の動き

まずは、主要な株価指数が実際どれくらい上昇したのか、確認しておきましょう。

① 日経平均株価

10月末 22,977.13円

11月末 26,433.62円 +3,456.49円(+15.04%)

② TOPIX(東証株価指数)

10月末 1,579.33ポイント

11月末 1,754.92ポイント +175.59ポイント(+11.12%)

③ マザーズ指数

10月末 1,171.25ポイント

11月末 1,232.40ポイント +61.15ポイント(+5.22%)

④ NYダウ(ダウ平均株価)

10月末 26,501.60ドル

11月末 29,638.64ドル +3,137.04ドル(+11.84%)

⑤ S&P500

10月末 3,269.96ポイント

11月末 3,621.63ポイント +351.67ポイント(+10.75%)

⑥ ナスダック総合 

10月末 10,911.59ポイント

11月末 12,198.74ポイント +1,287.15ポイント(+11.80%)

⑦ 上海総合 

10月末 3,224.53ポイント

11月末 3,391.76ポイント +167.23ポイント(+5.19%)

 

ご覧の通り、軒並み大幅に上昇しています。

日経平均は、1ヶ月の上昇幅としては1990年10月以来過去3番目。

NYダウも過去最大規模の上昇幅となりました。

また、ここには記載しませんでしたが、英国のFTSE指数や独国DAX指数も10年以上ぶりの上げ幅に。

全世界的な株高の1ヶ月となったわけです。

※そもそも「株価指数とは」というテーマについては、こちら↓の記事をご確認ください。

「株価指数」とは(日経平均やNYダウって何?) 「日経平均やTOPIX(トピックス)という単語を耳にするけど、何のこと?」 「NYダウ、S&P500、ナスダックは...

なぜ、これだけ上昇したのか?

市場は「半年~1年後」の企業業績の回復を織り込んでいる

そもそもですが、株価は「今の景気や企業業績(実態経済)を反映するもの」ではありません。

「市場関係者(専門家)が描く、半年~1年先の未来を織り込むもの」です。

よって今回の株価大幅上昇は、市場関係者が

「今はコロナによる企業へのダメージも大きいが、半年~1年先は改善しているはず」

と予測していることを示したものと言えます。

この、株価は将来の景気に先行して動くという特性は、ぜひ覚えておきましょう。

コロナのワクチン開発期待

各国・各企業で新型コロナウイルスのワクチン開発を競い合っていますが、臨床試験(治験)とデータ精査がどんどん進み、各国で当局の使用許可申請も始まっています。

米モデルナやファイザー&バイオンテックが「開発中のワクチンの有効性が90%以上であった」と発表するなど、前向きなニュースも多数。

こうした新型コロナウイルスのワクチン開発への期待から、それによる経済活動の正常化への期待に繋がり、株価を押し上げているというわけです。

バイデン新米大統領の政策への期待

2020年11月に実施された米大統領選はバイデン氏が勝利宣言をしましたが、現職のトランプ氏が不正選挙を訴えて法定闘争に持ち込んでいるため、選挙結果が確定していません。

しかし、トランプ氏の訴訟の多くは却下されるなど、バイデン氏が2021年から新米大統領に就任することが確実視されています。

そのバイデン新政権の政策方針で市場が注目するポイントとして、以下のようなものがありあす。

  • ワクチン開発と全国配布を推進、マスクの時限的着用義務化、ロックダウン(都市封鎖)は回避 →感染拡大防止と経済活動の両立
  • 雇用対策・失業保険給付の延長 →当面の企業業績と家計の下支え
  • イエレン氏が財務大臣に就任予定 →過去にFRB(米国の中央銀行に相当)のトップを務め、大学で雇用問題を学んできたイエレン氏は、その実績に対する市場の評価も高く期待は大きい。
  • 気候変動対策の枠組みへの積極参加と、日本や欧州諸国など同盟国との関係重視 →中長期的な世界経済の安定成長への期待

ご覧の通り、経済にとって概ね前向きな政策と受け止められており、株価上昇に反映しているものと考えられます。

今後の見通し

以上、今回の株価上昇の要因をかいつまんでお伝えしました。

株式市場は日々多くの投資家が様々な思惑で参加し、膨大な資金が動いていますので、上記のポイントだけで全てを説明できるものでありません。

また、「半年~1年後の景気を市場は織り込んでいる」とお伝えしましたが、株価の動きは「事後的」にしか説明できませんので、

今後の株価がどうなっていくかはだれも正確に予想できないものです。

よって、「コロナの影響で来年の株価はどうなるか」といった予想はする必要がないものと考えておきましょう。

ただ、2~3年程度の短期的な株価は予想できなくても、10年・20年スパンでの「長期的な流れ」は概ね予想することが可能です。

別の記事でもお伝えしていますが、

「株価は長期的な経済成長と企業の利益成長に連動する」

という特性があるからです。

コロナでピンチの企業もたくさんありますが、長い目で世界全体の成長を信じて、投資を継続していきましょう!

終わりに

いかがでしたでしょうか?

繰り返しますが、株価の動きに一喜一憂する必要はありません。

しかし、一般生活者の方でも定期的にチェックだけはしておくことをお勧めしています。

株価を見ておくことで、株式市場全体の状況と「政治・経済の大きな流れ」を掴むことができるからです。

ぜひ私たちと一緒に少しずつ投資の経験値を積み重ねながら、長期投資でじっくりと資産を育てていきましょう!!

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