大学の無償化制度ってなに?
我が家は無償化制度の対象?
今回はそんな疑問を持つ方向けの内容です。
「大学の無償化制度って聞いたことがあるけど、詳細は知らないな…」という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回と次回の2記事に分けて、大学無償化について解説します。
大学無償化制度は①給付型奨学金の支給と②入学金・授業料の減免の2つが主な支援内容です。
今回は、その中の①入学費・授業料の減免の支給を中心に解説します。
なお、大学無償化制度の正式名称は「高等教育の無償化制度(修学支援新制度)」ですので、以後は高等教育の無償化制度と表記します。
この機会に高等教育の無償化制度への理解を深めましょう。
高等教育の無償化制度とは
高等教育の無償化制度は、低所得者世帯の学生でも大学等に進学することができるように、進学に必要な費用を軽減する制度です。
具体的には、
①入学金と授業料の一部を減額・免除してもらえる(入学金・授業料の減免)
②返す必要のない奨学金がもらえる(給付型奨学金)
この2つの支援策を通して、各世帯の進学費用の負担を軽くするという内容です。
「無償化制度」と聞くと、授業料が安くなるという意味で考えがちですが、返す必要のない奨学金がもらえる点も覚えておきましょう。
高等教育の無償化制度の対象者は?
「子供の学費負担が軽くなるなら我が家も無償化制度を利用したい!」と誰もが考えるものですが、この制度を利用するためには世帯年収と学業成績における条件があります。
条件1:世帯年収
高等教育の無償化制度を利用できるのは、住民税非課税世帯と住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生です。つまり、高等教育の無償化制度を利用したいと思っても、世帯年収によっては対象外となることがあります。
実際に受けられる支援額は、世帯年収ごとに満額・満額の2/3・満額の1/3の3区分が設けられています。
支援を受けられる世帯年収の目安と支援額の区分は以下の通りです。
なお、下記の表はあくまでもモデル世帯を用いた例であり、世帯構成人数によって年収の基準額は異なります。
支援対象者 | 年収の目安 (両親・本人(18歳)・中学生の家族4人世帯の場合) | 年収の目安 (両親・本人(19~22歳)・高校生の家族4人世帯の場合) | 支援額 |
住民税非課税世帯の学生 | ~270万円 | ~300万円 | 満額 |
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生 | ~300万円 | ~400万円 | 満額の2/3 |
~380万円 | ~460万円 | 満額の1/3 |
(参考:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」)
条件2:学業(成績)
高等教育の無償化制度には、学業(成績)基準も設けられています。
高等教育の無償化制度は、支援を受けた学生が大学等でしっかり学んだ上で社会で自立して活躍できるようになることを目的としています。
そのため、高等教育の無償化制度の利用にあたっては、強い学びの意欲があり、大学等へ進学した後も学業を継続しているかどうか確認されます。
具体的には大学等入学1年目は高校在学時の評定平均値など、入学2年目意向は在学中のGPA(平均成績)等が確認されますので、在学中は学び続けることが必要です。
なお、学力が基準に未達であっても制度の対象外というわけではありませんので安心してください。
学力が基準に未達の場合は学習意欲や目的、人生設計などを確認できる学修計画書(レポート)を提出することで認めてもらえることがあります。救済措置がしっかりと準備されていますので、「成績が悪いから」と無償化制度の利用を躊躇する必要はありません。
しかし、「(救済措置としての)レポートがあるから授業に出席しなくても大丈夫」と甘んじることなく、まずはきちんと授業に出席し、学び続ける意欲を持ちましょう。
条件3:支援の対象となる学校に在籍(もしくは進学予定)
この制度を利用できるのは、国によって「高等教育の無償化制度の支援の対象とする」と認められた大学・短期大学・高等専門学校・専門学校に在籍している(もしくは進学予定の)学生です。
進学してから、「いま通っている大学は高等教育の無償化制度の支援対象外の学校だった…」ということは避けたいですよね。
そのため、志望校や在籍している学校が制度の対象かどうかは、以下でご確認ください。
参考:文部科学省「支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧」
給付型奨学金について
高等教育の無償化制度の概要を把握した上で、ここからは今回の記事のテーマである給付型奨学金について解説します。
奨学金とは、経済的な理由で進学が困難な学生に学費を貸与(貸す)、もしくは給付(あげる)制度です。
つまり、給付型奨学金は「将来返す必要のない奨学金」ということですね。
(※奨学金については過去記事をぜひご参照ください↓)
奨学金は、安心して学生生活を送るための生活費として支給されます。
実際には世帯の年収に応じて以下の金額が原則毎月1回振り込まれます。なお、給付型奨学金は学校の種類や通学方法によって金額が異なりますので注意しましょう。
国公立 | 私立 | |||
自宅生 | 自宅外 | 自宅生 | 自宅外 | |
大学 短期大学 高等専門学校 | 29,200円 | 66,700円 | 38,300円 | 75,800円 |
専門学校 | 17,500円 | 34,200円 | 26,700円 | 43,300円 |
(参考:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」)
高等教育の無償化制度の利用を考えている方は、上記の表を参考にしながら家計や学費負担について考えてみましょう。
まとめ
今回は高等教育の無償化制度の概要を踏まえ、制度の1つである給付型奨学金について解説しました。
大学等への進学費用は決して安いものではなく、予め教育資金を積み立てていたとしても不足が生じることもあるかもしれません。
世帯年収を確認した上で、必要であれば高等教育の無償化制度の利用を検討しましょう。
次回は高等教育の無償化制度のもう1つの支援である「入学金・授業料の減免」を中心に解説しますのでお楽しみに!
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