子供名義の口座を作って親が管理しているけど、大丈夫かしら?
「名義預金」という言葉は知っているものの、内容は知らないなあ…
今回は、このような疑問や不安をお持ちの方向けの記事です。
普段から貯蓄を心がけている人は多く、「家計用」「子供用」などいくつもの口座を開設していることもあるでしょう。
しかし、それらの口座は、口座の名義人がきちんと管理していますか?
自分名義ではない口座を貯蓄用に利用すると名義預金と判断され、税金を課されることになるかもしれません。
今回は名義預金の詳細について、さまざまなケースを元に解説します。
「知らなかった」では済まされないことですので、この機会に確認しましょう。
なお、今回は名義預金についての理解を深めるために、一般的な内容を解説しています。
個別ケースについては、最寄りの税務署や税理士事務所にご相談ください。
名義預金について理解を深めよう!
名義預金とは「口座の名義人と、実際に口座や通帳を管理している人が異なる」状態を言います。
たとえば、夫の給与を妻名義の口座で貯蓄している場合は、妻の名義を利用した名義預金です。
「(自分以外の別人の)名義(を借りて行う)預金」ということですね。
ではこの名義預金、どういった問題があるのでしょうか?
先述の例で考えると、夫のお金を妻名義の口座で管理し、仮に夫が亡くなった場合は「口座のお金は夫から妻へ相続するもの」と判断され、税金を支払わなくてはなりません。
妻の名前を借りただけで、実態としては夫の貯蓄と判断されてしまうというわけです。
しかし、口座の名義は「妻」であるため、夫が亡くなっても夫の財産に含むことを忘れたり、漏れたりすることがあり、これが税金の申告漏れにつながってしまいます。
申告しなかった場合はどうなるの?
申告しなかった場合は加算税の対象になってしまいます。
加算税を課されると、本来納めるべき納税額よりもさらに多く納めなければなりません。
「ついうっかりしていた」「知らなかった」といった理由で正しく申告していなかった場合は過少申告加算税といって、追加で納める税金の10%が上乗せされます。
しかし、意図的に隠す意図があったと判断されると重加算税となり、追加で納める税金の35%が上乗せされ、税金の支払いが非常に重くなります。
もちろん、夫が死亡した場合にのみ名義預金が問題になるということではありません。
税務署は納税者の口座をチェックすることができるため、名義預金の存在を指摘されることは決して珍しいことではありません。
名義預金だと認定された場合は、税金を本来よりも多く支払う必要がある点を覚えておきましょう。
どうやって「名義預金」と判断するの?
「ではどうやって名義預金と判断するの?」「自分のお金と主張すれば認められるのでは?」と思う方もいるでしょう。
続いては、名義預金と判断される3つの基準を解説します。
①誰が管理しているか
夫婦間だけでなく、親が子供の名義で貯金しているケースも名義預金と指摘されるケースがあります。
例え子供の口座であっても、通帳やキャッシュカード、印鑑といった口座に関わるものを親が管理していた場合は名義預金とみなされる可能性が高くなる点には注意しましょう。
※子供が未成年の場合は、両親(親権者)が法定代理人として通帳と銀行印を管理し、さらに贈与契約書に子供のサインや捺印に加えて両親(親権者)もサインまたは捺印を行うのが正式な方法です。
できるだけ子供本人が管理する環境を整えたいものですが、難しい場合は上記の方法も検討しましょう。なお、贈与契約書については後ほど詳しく解説します。
「口座の管理者は誰か」がポイントと考えるとわかりやすいですね。
②生前に贈与されているか
きちんと贈与の手続きが行われているかどうかも名義預金の判断ポイントです。
贈与とは、自分の財産を無償で相手に渡すと意思表示し、相手が「受け取ります」と合意することを言います。
この贈与の手続きには、贈与契約書と呼ばれる書類を作らなければなりません。
書類には「お金を渡す人(贈与者)」と「お金をもらう人(受贈者)」の間で、しっかりと合意されているかどうかなどを詳細に書く必要があります。
③お金の出所(でどころ)はどこか
資金源はどこか、という点も非常に大切です。
収入のない妻の口座に数千万といった大金があれば、通常、夫が稼いだお金を妻の口座に移して貯蓄しているものと判断されることが多いため注意しましょう。
要注意!名義預金と判断されやすいケース
大切な家族の貯蓄であっても、正しい方法で管理しない限り、名義預金と認定されてしまいます。
名義預金と判断されやすいケースとして、子供名義での積立があります。
子供名義で積立をしている人も多いかと思いますが、通帳の管理まで親がしている場合は要注意です。
子供が幼く、通帳などを管理できない場合は、先述のように贈与契約書を作成するか、「子供と一緒に入金する」「口座の存在を正しく伝えておく」など工夫し、「子供の口座を親だけで管理している」ということを避けましょう。
また、子供が多額の収入を得ることは一般的に考えにくいとされています。
幼い子供の口座に多額の預金がある場合は、親や祖父母などの財産を代わりに口座に入れているのではないかとされ、名義預金の指摘を受けることがあります。(全てのケースで名義預金となるわけではありません。)
子供の判断力や管理能力を考慮しながら、子供の口座を守っていきたいものですね。
名義預金ではないと証明する方法はある?
せっかくの預金を名義預金と指摘されることを避けるためにも、お金(口座)は正しく管理しなければなりません。
名義預金と疑われないように、いくつか工夫できる点があります。1つずつ確認しましょう。
①贈与契約書を作る
先述のように贈与契約書を作成していれば、「あげます」「もらいます」という双方の意志を確認でき、お金の出所が分かるため名義預金とみなされる可能性は低くなります。
手間はかかりますが、非常に効果的な方法です。
②本人名義に変更する
口座名義人と、実際にお金を貯めている(もしくはお金を実際に捻出している)人が別である場合は、お金を貯めている本人の名義に変更することを検討しましょう。
本人名義に変更することで、名義預金と指摘される可能性を下げることができます。
③贈与税を支払う
あとから名義預金だと発覚すると、追加で税金を支払う必要があることは先ほど解説した通りです。
そのため、お金のやりとりがある場合は、贈与と認め、贈与税を支払うことで名義預金ではなく「贈与」が成立します。
また、年間110万円までの贈与は税金がかかりませんので、この制度を利用すると良いでしょう。
まとめ
今回は名義預金について解説しました。
別人名義の口座を利用して預金していると、名義預金と指摘され、悪質な場合は追加で納めるべき税金も非常に高くなります。
「知らなかった」「うっかりしていた」では済まされないため、注意しましょう。
なお、「子供の口座に〇〇万円あれば名義預金」といった明確な基準はありません。この点について、不安がある場合は最寄りの税務署や税理士事務所などに相談するようにしてください。
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