財務諸表(ざいむしょひょう)、本物を見たことありますか?
なんて、ちょっと見て裏返してしまっていないでしょうか。
さらに勉強したことがあっても、本物の財務諸表と教科書などに載っている簡略化された財務諸表は、全くの別物な気がしたり…。
なんてことも。
せっかくなら、やっぱり本物が読めるようになりたいですよね。
そこで今回は、実際に公表されている「財務諸表」を一緒に見ていきたいと思います。
習うより慣れろ、ということで。
初めのうちは読まなきゃ!と気負わず、なんとなく眺めて…くらいの気持ちで大丈夫!
出来る限り分かりやすく簡単にを心がけて説明していきます。
(分かりやすく簡単にするために、細かい説明やルールについては一部省きながら進めていきます。ご容赦ください。)
以前の記事「【未成年者向け】財務諸表ってなに?」はこちらから。
以前の記事のおさらい
本題に入る前に、まずは以前の記事「【未成年者向け】財務諸表ってなに?」のおさらいから始めましょう。
- 「財務諸表」は決算日ごとに会社が作る、会社の「成績表」
- 「貸借対照表」は、決算日の”持ち物リスト”
「貸借対照表」には3つの区分がある
持ち物リストである「貸借対照表」の大きな3つの区分についても思い出して下さいね。
- 資産(しさん)
- 負債(ふさい)
- 資本(しほん)
ハンバーガー屋さんのその持ち物はどの区分?
さらにこの3つの区分それぞれにに当てはまるのは具体的にどんな物なのか、ハンバーガー屋さんの持ち物で考えましたね。
ハンバーガー屋さんのお店や業務用の大きな冷蔵庫、それから毎日の買い物などのために持っている現金は「資産」。
起業家さんが銀行から借りたお金は「負債」。
そして、起業家さんがあなたや株主から受け取ったお金は「資本」でした。
今回は、この5つの持ち物が本物の「貸借対照表」のどこに記載されるのか、一緒に見ていきたいと思います。
では、さっそく本物を見てみましょう!
「貸借対照表」で「資産」「負債」「資本」を見つけよう
2020年度3月期の「株式会社モスフードサービス」の貸借対照表です。
1枚目に「資産の部」、2枚目の上半分に「負債の部」、下半分に「純資産の部」があります。
(文字が小さくて見えにくい場合は画像をクリックしてください。)
漢字と数字だらけで単なる文字の羅列に見えるかもしれません。
でも「貸借対照表」は決算日の”持ち物リスト”でしたよね。
だから実はその感覚、正しいんです。
(※「資本」は「貸借対照表」では「純資産」と表示されています。分かりやすくするためにこの記事では「資本」という言葉を使っていきますが、同じものと考えてOKです。)
3つの区分は、見る人・使う人への思いやり
「貸借対照表」を身近に感じてほしいので、ちょっと寄り道してみましょう。
例えば、家族で旅行に行く前の日。
忘れ物をしないように、「持っていく物リスト」を作ったことはありませんか?
実際、明日から沖縄旅行に行くと想像して、自分なら何を持って行くか思い浮かべてみてください。
まずは思いつくままに箇条書きにしてみましょうか。
・歯ブラシ
・パンツ
・ハンカチ
・靴下
・おこづかい
・酔い止め
・バナナ
・Tシャツ
・のど飴
・ズボン
・シャンプー
・クッキー
でも、この状態では準備するのも大変そうですね。
せっかくリストを作ったのになんだか忘れ物をしてしまいそうです。
では、このリストをいくつかのグループに分けて整理してみましょう。
グループの名前には★を付けて、その下に具体的な物の名前を書いてみました。
★おこづかい
・おこづかい
★洗面道具
・歯ブラシ
・シャンプー
★着るもの
・Tシャツ
・ズボン
・パンツ
・靴下
・ハンカチ
★お薬
・酔い止め
・のど飴
★おやつ
・バナナ
・クッキー
すっきりして読みやすくなりましたよね。
「貸借対照表」の区分も、この家族旅行に「持っていくものリスト」と同じようなイメージです。
「貸借対照表」は、会社のたくさんの持ち物を決められたルールに従ってグループ分けしているだけのもの。
自分だけの「持っていくものリスト」と違って、会社の「貸借対照表」はたくさんの人が見るものですからルールもたくさんあります。
とはいえ考え方は同じで、見る人・使う人にとって分かりやすいように作られているんです。
5つの持ち物を「資産」「負債」「資本」に分けてみよう
では、モスフードサービスの「貸借対照表」に戻りましょう。
「資産」「負債」「資本」の3つの区分をそれぞれ赤・青・黄色で囲みました。
出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとに作成
先ほど思い出してもらったハンバーガー屋さんの5つの持ち物。
この3つの囲みのどこに入るでしょうか。
答えは下のイラストの通り。
出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとに作成
こんな風に、まずは表と実際の物を大まかに結び付けてイメージ出来るようにしてみましよう。
無機質な一覧表が少し立体的に見えてきませんか?
まとめ
では最後にもう一度、ハンバーガー屋さんの5つの持ち物を「貸借対照表」で確認しておきましょう。
出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとに作成
今回のポイントは2つ。
- 「貸借対照表」の区分は「資産」「負債」「資本」の3つ
- 3つの区分は、見る人・使う人への思いやり
難しそうに見えても、「貸借対照表」はあくまで「持ち物一覧表」。
落ち着いて1つずつ見ていけば、なんとなく何がどこにあるのか分かってくるはずです。
まずは「この会社ってこんなに現金持っているんだな」とか、「建物たくさん持っているんだな」とか、分かりやすいところから見てみましょう。
さて、今回は貸借対照表「その①」です。
この続きの「その②」では、「資産」と「負債」の区分にあるもう一つのグループ分けについてお伝えします。
引き続きハンバーガー屋さんの持ち物を例に、分かりやすくお伝えしていきます。
一緒に勉強していきましょうね。
参考:「いくらやっても決算書が読めない人のための早い話、会計なんてこれだけですよ!」(株式会社日本実業出版社/岩谷誠二)、「新・ほうとうにわかる経営分析」(ダイヤモンド社/高田直芳)