「老後資金は2000万円必要ときくけど、今の年齢や住んでいる場所で違うと思うし。。。実際どうなの?」
「老後に必要なお金は一体いくら?ネットの記事とかを見ててもよく分からない…」
この記事は、そんな疑問をお持ちの方向けの内容です。(3分程度でお読みいただけます)
2019年6月に話題となった、「老後資金2000万円不足」問題。
金融庁の諮問機関(金融審議会市場ワーキング・グループ)が作成した報告書で、
「現在の高齢者世帯の平均収入と支出を単純計算すると月々5万円強のマイナスになるため、65歳~95歳までの間で約2,000万円不足する」
と記述されたことが各メディアで大々的に報じられ、注目を受けました。
というアクションを起こす方が増えるキッカケになったのは良いことですが、、、
世の中で出回っている記事等では2000万円のキーワードを示して「ただ煽る」内容だったり、各種データをつらつらと解説していることが多く、
「あなたの場合は、実際いくら必要か」を分かりやすく端的に解説しているものはあまり見かけません。
そこで今回は、『とにかく分かりやすく!』を念頭に、年齢やお住いの地域に応じて必要な額の目安をお伝えすることにしました。
あくまでもザックリとですが、ぜひご参考ください。
とにかく、“簡単に・分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。
「老後資金2,000万不足」はホント?
まず、2,000万不足問題で提示された金額について検証してみましょう。
こちらは総務省が実施する「家計調査・二人以上世帯(2017年)」のデータを抽出したもの。
それによると、世帯主が無職の「高齢夫婦世帯(夫65歳以上,妻60歳以上で構成する夫婦一組の世帯)」の家計収支はこうなっているようです。
- 毎月の実収入:209,198円
- 毎月の実支出:263,718円
- 毎月の収支:▲54,520円
上記をふまえ、単純に×12か月×30年(65歳~95歳を想定)すると「約2,000万円」になるということですね。
家計調査年報による「平均値」として、決して間違っている金額ではないことが分かります。
「老後資金2,000万円不足」データの問題点
ところが、このデータには大きな落とし穴とも言える問題点があります。
問題点① あくまでも「現在の」データ
「2000万円不足」の根拠となっている家計調査は毎年実施されていて、「その時の状況」を表しています。
つまり、「今の高齢者世帯」が「今もらえる年金等の収入」と「今使っている生活費等の支出」がいくらかを示しているということです。
当然ながら、もらえる公的年金の金額も、日々の生活費も、将来ずっと同じであるはずがありません。
この報告書でも明記されていますが、公的年金は少子高齢化によりほぼ確実に「給付水準を抑制していく」方向。
また、今後の物価上昇や消費増税の可能性も高く、そうなると日々の生活費も増えていきます。
現在20~40代の若年層の方が高齢者となる頃には、様変わりしている可能性が高いのです。
それに対し、前述のように2,000万円を導き出した計算式は「現在の収入・支出の平均値」にそのまま×30年しただけ。
『将来の年金・生活費の変化を織り込んでいる金額ではない』
という点は十分理解しておく必要があるでしょう。
問題点② あくまでも「全体平均の」データ
前述の通り、2,000万円不足の基データは「老齢世帯の平均値」を表しています。
世帯主が無職(年金暮らし)か勤労者か、までは分けられているのですが、
収入や負債の有無、住まいの地域等による違いまで織り込んでいません。
「老後に必要となる資金」は、現役時代の収入や住む地域によっても大きく変わると言われていますので、
2,000万円という金額が誰にも当てはまるものではない、と理解しておくと良いでしょう。
※2,000万円不足問題のデータ抽出の仕方は「全体平均」ですが、家計調査そのものは、世帯主の年齢や収入、居住地域等によって分けたデータも公開しています。
実際どれくらい必要なの?
ということで、老後資金不足「2,000万円」は間違った金額ではありませんが、
「誰にも当てはまる金額ではない」こともお分かりいただけたはずです。
そこで!
今回はFP安藤が独自の計算式で、「年齢」「地域」「現役時の収入」別の老後資金必要額を算出しました。
ぜひご参考いただければと思います。
【前提条件】2,000万円不足するのは「現在70歳」の方の「全国平均」と仮定
前述の報告書の金額は、「世帯主が65歳以上の世帯だと、95歳までに約2,000万円不足するよ」という金額でした。
もはや「老後」の定義が70歳~になってきていますし、「人生100年時代」と言われて久しいですから、
今回は「今70歳の方が100歳まで生きるなら、全国平均で2,000万円不足する」と仮定することにします。
老後を迎えるまでの年数=「今の年齢」によって大きな差が出る!
先ほども述べましたが、これからの年金水準の低下や物価上昇・消費増税等の影響で、必要な老後資金の額は大きく変わってきます。
その中でも、実は一番大きな影響が出るのが物価上昇。インフレとも言います。
ここでの詳細の説明は省きますが、国は緩やかな物価上昇をさせることで「賃金水準の上昇」「景気の拡大」と「年金水準の抑制」まで同時の実現させようと、本気で取り組んでいます。
政府の目標は年2%の物価上昇ですが、近年は0%代の成長。
それでも、「今後少なくとも1%程度の物価上昇が続く」と考えておいた方が、リスクに対する認識としては賢明です。
物価上昇を加味するために「終価係数」という数値を用いて必要金額を算出すると、次のようになりました。
現在の年齢別、必要老後資金(今後、年1%で物価が上昇していく場合)
- 70歳:2,000万円
- 60歳:2,210万円
- 50歳:2,440万円
- 40歳:2,696万円
- 30歳:2,978万円
いかがでしょう?
現在の年来が30歳なら、約3,000万円が必要老後資金の目安になります。
物価が上昇することで「今までと同じ金額では同じ物が買えなくなる」=お金の価値が下がる
ことになりますから、より多くの金額を準備する必要が出てくるというわけです。
ごめんなさい。
本当は1つの記事で終わらせる予定だったのですが、だいぶ長くなってしまいましたので、2つに分けさせていただくことにしました。
次回は「地域」「現役時の収入」別の老後資金必要額について解説します。
ぜひ、あわせてご覧くださいね!
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