老後はもう少し先だけど、50代でどれくらい貯金しておいた方が良いもの?
子どもの教育費で、だいぶ貯金が減ってしまった… このままで大丈夫かな?
弊社にご相談で来られる50代の方は、そんな疑問・悩みをお持ちの方が多くいらっしゃいます。
そこで、今回は50代に絞って「貯金(貯蓄)に関するデータ」をまとめてみました。
どれくらいなのか、まずはクイズを解いてみましょう!
※2021年6月時点で公表されているデータを基にしています。
【クイズ】
直近の各種調査によると、50代の平均貯蓄額はいくらでしょうか?
① 1,800~2,000万円程度
② 1,300~1,500万円程度
③ 900~1,100万円程度
④ 500~700万円程度
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↓↓↓(答えはこちら)
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正解は、②です。
統計データによってかなりブレがあるので、詳しく見てみましょう。
厚生労働省が2019年に実施した「国民生活基礎調査」によれば、世帯主が50代の1世帯あたり平均貯蓄額は、1,075万円。
総務省が2020年に実施した「家計調査(貯蓄・負債編)(二人以上の世帯)」によると、世帯主が50代の1世帯あたり平均貯蓄額は、1,703万円でした。
また、
金融広報中央委員会が2020年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」によると、50代の金融資産保有額の平均は1,684万円でした。
ただし、同調査の[単身世帯調査]では924万円となっています。
クイズの答えは②の「1,300~1,500万円程度」にしましたが、各種統計を合わせた【ザックリとしたイメージ】と考えておいてください。
今回お伝えしている「貯金」(統計上の表現によっては「貯蓄」「金融資産」)には、銀行等の預貯金だけでなく、株式や債券等の有価証券や、積立型の保険等も含まれます。
平均値だけでなく「中央値」も重要
30代の平均貯金額についての記事でも詳しく解説しましたが、「平均値」以上に重視すべきともいえる指標として「中央値」があります。
中央値とは、「回答結果を多い順(または少ない順)に並べた時、ちょうど真ん中に位置する人」の数値を意味します。
逆に平均値は、「全ての回答結果の合計を、回答した人数で割る」ことによって出てくる数値です。
一般的に中央値の方が、「すごく多い人・すごく少ない人」のデータは除外されて、「だいたい真ん中くらいの人」の数値が分かるので、より実態を把握しやすいのです。
前述の金融広報中央委員会が2020年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査」では、平均値の他に中央値も好評されています。
同調査の[二人以上世帯調査]によると、50代の金融資産保有額の中央値は800万円でした。(平均値は1,684万円)
そして[単身世帯調査]では、中央値はなんと30万円です。(平均値は924万円)
※「国民生活基礎調査」および「家計調査」では、世代毎の中央値は公表されていません。
このように、平均値と中央値は大きな差が出るケースもありますので、出来れば両方を参考にすると良いでしょう。
現実として、50代は特に格差が大きい
先ほどの平均値と中央値の開きも相当なものでしたが、別にも興味深いデータがあります。
前述の「家計調査」で、世帯主が50代の1世帯あたり平均貯蓄額は「全体でみると」1,703万円でしたが、
実は「上位20%の人」がいくらかも公表されています。
その額は、なんと4,976万円です。
約3倍もの開きなので、衝撃を受けた方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、50代の方も多くご相談に訪れる環境でFPとして携わってきた“現場感覚”では、決して驚くほどの数値ではないという印象です。
「持っている人はたくさん持っていて、ない人は全然ない」
というくらい、50代の方は真っ二つに分かれているように感じます。
実際、多くの50代の人はどれくらい貯金しているのか?
ということで、実態はどうなのかを検証してみましょう。
統計データをふまえると
統計では、こちらの金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2019)が、「中央値」も公表されているため【最も実態を反映している】と思われます。
●50代の平均保有資産額
「二人以上世帯」の中央値は800万円、平均値は1,684万円。
「単身世帯(独身者)」貯蓄額の中央値は30万円、平均値は924万円。
FPの現場感覚では
これに加えて、私たちのFPとしての現場感覚による数値もお伝えしておきます。
単純に平均値・中央値で捉えるのは難しかったため、「貯金しているケースの平均値」「貯金していないケースの平均値」に分けてまとめてみました。
●50代・2人以上のご家庭の平均貯蓄額
- 貯金をしている世帯:1,000~1,500万円
- 貯金があまりない世帯:200~400万円
●50代・単身(独身)の方の平均貯蓄額
- 貯金をしている方:2,000~2,500万円
- 貯金があまりない方:300~500万円
2人以上のご家庭の場合、
「子どもが1人の世帯」もしくは、DINKs(ディンクス)ともいわれる「子どものいないご夫婦」が、①の貯金をしている世帯に当てはまるケースが多いです。
逆に「子どもが2人以上の世帯」では、②の貯金をしていない世帯に該当しているケースが多い傾向にあります。
(まさに、冒頭の「子どもの教育費にお金がかかり、自分たちの貯蓄がない」というパターンですね。)
独身の方の場合は、
一概には言えませんが、女性の方が①貯金をしているゾーンに当てはまることが多く、男性の方は②貯金があまりないゾーンに該当してしまうケースが多い、というのが正直なところです。
あくまでも私たちの現場感覚ですし、必ずしも実態をしっかりと反映しているとは言い切れません。
もちろん、上記に当てはまらない方もたくさんいらっしゃいますので、あくまでもご参考程度にとどめておいてくださいね。
「平均より少ない」と感じた場合
以上、統計データとFPの現場感覚から平均貯蓄額についてお伝えしました。
「自分は平均より明らかに少ない。このままじゃマズイのかな…」と不安になってしまう方もいるかもしれません。
しかし、あまり心配し過ぎなくて大丈夫です!
職業や収入が異なるのはもちろん、前述の家族構成や親族関係、住む地域などの環境面も、人によって千差万別ですね。
また、50代といっても「50歳と59歳」では大きな差が出て当然と言えます。
あまり平均値を意識し過ぎるのではなく、別の視点を持っていただきたいと考えています。
周囲との比較より、「ゴール(目標)からの逆算」
ついつい人は周りと比べてしまうものですが、、、
「平均より多く貯蓄があれば安心で、少なければ異常事態」
という捉え方は、あまりお勧めできません。
重要なのは、「今の貯蓄体質で、将来の目標を達成できるかどうか」という視点です。
「老後は趣味のゴルフや旅行など、悠々自適に過ごしたい」
「リタイア後は、社会の課題解決のために起業したい」
「親の介護も念頭に、資金計画を立てておく必要がある」
それらの「自分のニーズ」をふまえ、
どのように暮らすか、どんな目標やリスクがあって、いくらぐらいのお金を用意しておく必要があるのか。
それをしっかり考え、「今の暮らし方・貯め方で、十分な貯蓄を確保できるか」が重要です。
単純に現状の貯蓄額を平均値と比べるのではなく、「自分の目指すゴールから逆算」という視点を持つようにしましょう。
今のままではダメと思ったら、具体的なアクションを!
しっかりと将来のビジョンをイメージしていただいて、万が一「このままでは目標を達成できないかも」と感じるのであれば、
体質改善のアクションを起こすべきです!
考え方は健康管理・ダイエットと全く同じですから、目的をもって日々の習慣を変える必要があります。
ポイントは3つです。
- 目的に対して、いま置かれた状況を冷静に見つめなおす(保有資産、収入、支出、問題・課題等の整理)
- 「強制力」を使って着実に貯めていく
- 「iDeCo」や「つみたて(積立)NISA」など国の制度を使った投資・運用で、「お金を育てていく」
詳細は、次回以降の記事で、50代の方向けの「具体的な資産づくりの方法」をいくつかアドバイスさせていただきます。
ぜひお楽しみに!
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