お金の基礎知識

非課税世帯とは?条件や目安年収の求め方をわかりやすく解説

非課税世帯に該当するか調べたい場合、条件や年収、そもそもの定義などが気になりますよね。最近は「住民税非課税世帯に対する臨時特別給付金」もあり、具体的に知りたい方も多いと思います。

そこでこの記事では、非課税世帯についてわかりやすく解説。条件や年収、非課税世帯かどうかの調べ方なども紹介します。

非課税世帯とは世帯全員が住民税が課税されていない世帯

まず「非課税世帯」という言葉の意味ですが、これは正確には「住民税非課税世帯」を意味しています。そして、この住民税非課税世帯とは、世帯全員の前年収入が、住民税が課税されない額に収まっている世帯のことです。

住民税非課税世帯という枠組みは、保険や給付金といった制度においても用いられることがあります。例えば、国民健康保険制度や高額療養費制度においては自己負担額を少なくしていますし、2022年の「住民税非課税世帯に対する臨時特別給付金」の配布対象も住民税非課税世帯を対象にしています。

なお、これらの制度に住民税非課税世帯という枠組みが用いられている理由は、住民税額から各家庭の収入状況がある程度把握できるためです。

「世帯」とは生計を共にする生活の単位のこと

「住民税非課税世帯」の“世帯”とは、同じ住所で生計を共にしている単位のことで、一般的には同じ住民票に記載されている人たちが該当します。

世帯に誰が含まれるかを確認するには、住民票の「世帯全員」を取得します。住民票には、「世帯全員」と「世帯一部」の2種類があり、世帯全員の住民票には同一世帯の人全員の情報が掲載されています。

住民税非課税世帯になる条件

住民税非課税世帯になる条件は、世帯全員の前年収入が住民税が課税されない範囲に収まっている必要があります。

この収入額は全員一律ではなく、以下の条件によって変動してきます。

  • 同一生計配偶者(生計を共にする配偶者)や扶養親族の有無
  • 障がいの有無
  • 成人・未成年
  • 寡婦またはひとり親か否か
  • 生活保護を受けているか否か

上記条件を反映した、区分別の収入額は以下のとおりです。

同一生計配偶者または扶養親族がいる場合

  • 35万円×(本人 + 同一生計配偶者+扶養親族)の人数+ 21万円+10万円

同一生計配偶者および扶養親族がいない場合

  • 35万円+10万円以下

障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親に該当する場合

  • 前年の合計所得金額が135万円以下

生活保護法の規定による生活扶助を受けている場合

  • 所得額に関わらず非課税

一人暮らしでも住民税非課税なら非課税世帯に該当する

非課税“世帯”という言葉から、中には単身世帯、いわゆる一人暮らしは該当しないと思っている方もいるのではないでしょうか?

じつは「世帯」という単位に人数は関係ありません。世帯人数が1人だけでもその1人が住民税非課税なら住民税非課税世帯となります

住民税非課税世帯かどうか調べるには?

実際に自分が住民税非課税世帯かどうか調べるには、主に2つの方法があります。

1つは市区町村役所から送られてくる「住民税課税決定通知書」を確認すること、もう1つは、直接市区町村役所に確認する方法です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

住民税課税決定通知書で確認する

住民税課税決定通知書

出典:総務省

住民税課税決定通知書とは前年の所得に基づいて算出した住民税を通知するための書類です毎年5~6月に送付され来年5月までに納める住民税の額が記載されています

住民税課税決定通知書はすべての人に送付されるわけではありません。住民税を給与天引きで納める手続きが完了している場合は勤務先を経由して送られてきますが、住民税を自分で納める人や公的年金から天引きで納めている人には送付されず、直接市区町村役所に確認する必要があります。

納税通知書が無ければ役所の税務課に確認する

住民税課税決定通知書が送付されてこない人の場合、住民税の額を算定している市区町村の住民税担当に問い合わせましょう。

このとき気を付けることは問い合わせの時期です。住民税の額は毎年6月に改定されるため、例えば4月に問い合わせたとすると、その年の5月までの額を教えてもらうことになります。

改定前に6月以降の税額が知りたい場合は、前年の所得から算出する必要があります。このとき、確定申告をしている場合は確定申告書に記載されている所得を基に計算します。

なお、住民税の額は市区町村によって異なるため、直接窓口で相談するのがおすすめです。

住民税非課税世帯の目安年収の算出方法

住民税が非課税になる条件は、同一生計配偶者や扶養親族の有無、寡婦またはひとり親か否かなどの条件によって異なるため、家庭状況によって計算が必要です。

また、給与所得者の場合、年収から給与所得控除額を引いた値が所得額になります。給与所得控除は収入額によって異なり、下記の計算式で算出されます。

給与所得控除額の計算方法

  • 1,625,000円まで:550,000円
  • 1,625,001円から1,800,000円まで:収入金額×40%-100,000円
  • 1,800,001円から3,600,000円まで:収入金額×30%+80,000円
  • 3,600,001円から6,600,000円まで:収入金額×20%+440,000円
  • 6,600,001円から8,500,000円まで:収入金額×10%+1,100,000円
  • 8,500,001円以上:1,950,000円(上限)

給与所得者のみの1人世帯の場合

非課税になるライン
45万円

非課税になる年収額の例
給与所得控除55万円+非課税ライン45万円 = 100万円

給与所得者、専業主婦(夫)、子ども1人の3人世帯の例

非課税になるライン
35万円×(1+1+1)+21万円+10万円 = 136万円

非課税になる年収額
非課税ライン136万円+給与所得控除額額

給与所得者、専業主婦(夫)、子ども2人の4人世帯の例

非課税になるライン
35万円×(1+1+2)+21万円+10万円 = 171万円

非課税になる年収額
非課税ライン171万円+給与所得控除額

非課税世帯に該当するのはあくまで限定的

非課税世帯とは、世帯全員が住民税非課税に該当する世帯であり、例示した非課税になるラインを見て分かるように、該当するケースはあくまで限定的です。

住民税が非課税になると税負担は少なくなりますが、所得額を気にしながら働かないといけないデメリットもあります。そのため、ある程度の収入がある方にとっては、住民税を意識することが行動を制限する枷になってしまう可能性もあります。

一方で、退職や転職などで一時的に所得が減った場合は、翌年の負担を抑えるために非課税になるラインを意識しながら働くのもありでしょう。

自身の働き方やライフプランと見合わせて、住民税の非課税制度と上手に付き合っていきましょう。

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