「与党の税制改正大綱が発表されたというニュースを見たけど、何が変わるの?」
「そもそも、税制改正大綱ってなに?」
この記事は、そんな疑問がある方向けの内容です。
12月10日に、自民・公明両党により「税制改正大綱(ぜいせいかいせいたいこう)」が発表されました。
ニュースでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、あまり馴染みのない言葉・内容かもしれませんね。
そこで今回は、「そもそも税制改正大綱って何?」についてと「一般生活者の方に大きく関わる点」を、ザックリと解説します。
(とにかく、“分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。ご容赦ください。)
税制改正大綱とは
毎年12月上旬~中旬にかけて発表される、
「翌年以降の増税や減税、新税の創設といった税制改正をまとめた文書」
のことです。
正確には、「与党税制改正大綱(よとうぜいせいたいこう)」といいます。
税制改正大綱を基に、税制の「改正法案」がつくられる
「大綱」は“骨組み”という意味もありますが、税制改正大綱は比較的実現性の高い文書として位置付けとなっています。
政府は大綱に沿って税制改正法案をつくり、国会に提出。
最終的には法案が成立してから、税改正が実施されます。
大綱の中身は、個人(家計)に直接影響があるものと、法人(企業)に関するものに分かれます。
この記事では、個人部門で特に「家計への影響が大きいもの」について解説していきます。
住宅ローン控除
適用期間「13年間」の特例が延長される
マイホームを購入してローンを組んだ時に利用できる「住宅ローン控除」。
通常は10年間、年末の借入残高の1%を所得税額から控除できる仕組みです。
この制度に「特例」が設けられていて、2020年12月末までの入居分については「適用期間を13年間に優遇する」ことになっていました。(2019年の消費税率引上げにより購買意欲の減少を和らげるためです)
予定通り行けばこの年末には終了するはずだったわけですが、
今回の大綱で「2022年12月末までの入居分」へと2年間延長されることが決まりました。
新型コロナウイルスの影響で需要・消費が低迷していることから、引き続き特例を使えるようにして、少しでも経済を活性化させようという意図ですね。
床面積の基準も緩和される
これまで、住宅ローン控除の適用となる物件の床面積が「50平米以上」という基準がありました。
それが、今回の税制改正大綱により「40平米以上」に引き下げとなります。
ただし、「40平米~50平米未満」の物件の場合は、「合計所得金額1,000万円以下」という所得制限(年収制限)もセットです。
あくまでも生活者全体の購買意欲を喚起するためであり、高所得層の節税ニーズに応えるものではないという趣旨ですね。
エコカー減税
燃費性能の高い自動車を購入した場合に、「自動車重量税」が優遇されるエコカー減税。
現状のルールは2021年4月までとなっていましたが、これを「2023年4月まで延長」することが決まりました。
ただ、燃費性能についての基準は厳しくすることに。
「クリーンディーゼル車」は燃費基準を達成しない場合、一律で免税措置が廃止されることとなりました。
また、自動車の取得時にかかる「環境性能割」はもともと2021年3月までに延長となっていましたが、これが2021年12月までに再延長となります。
エコカー減税については強弱をつけての改正ということですね。
シッター補助の非課税化
今回は、子育て世代を支援する改正もあります。
ベビーシッターや認可外保育所を利用した場合、国や自治体から得られる「助成金」等がありますが、現状では「雑所得」として課税対象となっています。
要は「収入にカウントされてしまう=納税額が増える」ということが起きていたわけです。
それを、非課税にすることとなりました。
また、産後ケア等のサービスを利用した際に10%の消費税がかかっていたところ、これも非課税となりました。
その他
上記以外で、個人に関わる改正では次のようなものがあります。
- 教育資金・結婚資金に関する贈与税の優遇措置の延長
- 確定申告時の押印が不要に
- 確定申告時の領収書・請求書の保管を電子化OKに
国はデジタル化(DX)を推進しようとしていますので、今後ますますの改善に期待したいところです。
終わりに
税制は、国の財政や経済情勢・人口動態や国民のライフスタイルなどに合わせて少しずつ改正されていきます。
ただ、税制は政府・与野党・各省庁・各自治体で様々な調整がされたうえで改正されていくので、「手つかず」「見送り」になってきたものも少なくありません。
今回は詳細の説明は省きますが、”高所得層の優遇”という批判が根強い「退職所得控除等の見直し」は置き去りです。
まだまだたくさんの課題が残されていますので、今後の動向を見守っていきましょう。
(なお、今回の税制改正大綱は国会で法案として可決された訳ではありませんので、100%の決定事項ではありません。その点はお含みおきのほどよろしくお願いします。)
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