「医療費控除っていつすればいいの?」
「医療費控除って難しいんでしょ?」
この記事は、そんな疑問を持った方向けの記事です。
皆様、2021年の医療費の領収書は保管してありますでしょうか?医療費は確定申告時に医療費控除として申請すれば所得控除の対象となります。同一生計の配偶者や家族もまとめて申請できるため、忘れずに提出しておきたいところです。
しかし、確定申告に慣れていない場合、医療費控除の手続きはハードルが高い部分もありますよね。そもそも対象期間はいつまでなのか、書類はどう書けばいいのか、疑問な点も多いと思います。
そんな方のために、今回は医療費控除の申請方法や書き方、よくある疑問などについて解説していきます。
医療費控除の基本|対象期間と提出方法
最初に医療費控除の基本情報を見ていきましょう。
まずは医療費控除の定義からです。
医療費控除とは
その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
つまり、その年にかかった医療費が一定額を超える場合、確定申告時に申請すれば、その額の分課税所得を減額できるという制度です。
このとき、自分の家族の医療費も合算できるため、例えば夫が家族全員分の医療費控除を受けたり、夫と妻がそれぞれ医療費控除を受けたりと、控除額を割り振ることが可能です。
対象期間と申請方法
医療費控除の対象期間は、確定申告の対象となる年の1~12月分です。各年度(4~3月)ではないため気を付けましょう。また、申請方法は医療費が発生した年を対象とした確定申告で申請します。
例えば、2021年(令和3年)分の医療費控除を受ける場合は、2021年1~12月分の医療費を、2021年分の確定申告で申請することとなります。
申請対象期間:確定申告の対象となる年の1~12月
申請方法:医療費が発生した年を対象とした確定申告で申請
なお、2021年(令和3年)分の確定申告申請期間は2022年2月16日~3月15日です。
申請対象となる医療費
申請対象となる医療費は国税庁のホームページに羅列されています。
判断が難しい部分もありますので、情報に間違いのない国税庁のホームページを参照し、判断に悩む場合は国税庁の「税についての相談窓口」を活用しましょう。
[令和3年4月1日現在法令等]
医療費控除の対象となる医療費は次のとおりであり、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。
医師又は歯科医師による診療又は治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)
治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)※1
病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、指定介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。)
保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価(この中には、家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれますが、所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費になりません。)
助産師による分べんの介助の対価
介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価
介護保険等制度で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
次のような費用で、医師等による診療、治療、施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの
(1) 医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの(ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれません。)
(2) 医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯、眼鏡などの購入費用 ※2
(3) 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療等の費用に相当するものや上記(1)・(2)の費用に相当するもの
(4) 傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代 ※3
骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導(一定の積極的支援によるものに限ります。)のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金(平成20年4月1日から適用されます。)※1 平成29年1月1日から令和3年12月31日までの間に支払う特定一般用医薬品等の購入費は、その年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っているときに、通常の医療費控除との選択により、セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)の対象となります。
※2 電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除き、タクシー代は控除の対象には含まれません。自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金などは、控除の対象には含まれません。
※3 医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要です。おむつ代についての医療費控除を受けることが2年目以降である場合において、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付する「おむつ使用の確認書」等を「おむつ使用証明書」に代えることができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm(国税庁)
医療費控除の申請を手軽にする方法
医療費控除を申請する際にハードルとなるのが必要書類の作成ではないでしょうか。医療費控除の明細と確定申告書類という2つの書類が必要なのですが、書式を見ただけでやる気が半減してしまう方もいると思います。
そこでここでは、確定申告書類を簡単に作成できる「確定申告書等作成コーナー」を紹介します。
まず、医療費控除をするだけなら、記入すべき欄は多くありません。ざっくり解説すると下記の3ステップで完了します。
- 医療費控除の明細書を作成する
- 確定申告書を作成する
- 1・2の書類をを税務署に提出する
この3ステップを、確定申告書等作成コーナーで作成していきます。
まず、質問形式で収入や控除に関する条件を選択していきます。これにより作成すべき書式を自動で案内してくれます。
質問の選択を終えると、源泉徴収票や医療費控除額などの記入に進みます。各書類とも記入が必要な部分だけ案内してくれるため、記入箇所を間違えることがありません。
また、記入画面では記入例を提示してくれるため、手持ちの書類のどの部分を書き写せばいいかも一目でわかります。
書類を作成した後は、プリントアウトして税務署へ郵送するか、e-taxで申請すればOKです。
医療費控除の確定申告はスマホでも可能!
「確定申告書等作成コーナー」を使った医療費控除は、スマホからでも申請可能です。
Android、iPhoneの両方で申請可能で、ホームページから申請できるほか、マイナンバーカードを持っていれば、アプリ・マイナポータルAPからの申請も可能です。
ただし、スマホで申請できる範囲は限られており、青色申告決算書や終始内訳書、消費税や贈与税の申請はできません。
マイナポータルAPの入力画面
医療費控除に関するよくある疑問
医療費控除が始めてという方は、ちょっとした疑問でつまづきがち。さらに確定申告も初めてだと分からないことだらけですよね。
そこでここでは、医療費控除を申請するときにありがちな、よくある疑問について回答していきます。
医療費控除はいくらから受けられる?
医療費控除は、対象期間の間に支払った医療費が10万円以上の場合に申請できます。
例えば、2021年分を申請するなら、2021年1月1日~12月31日に支払った医療費の合計が10万円以上なら申請が可能となります。
ここで注意すべきなのが、対象となる医療費は「支払日を基準とする」ということです。
例えば、2020年12月中に病院にかかり医療費の請求が発生し、2021年1月になってから医療費を支払ったとします。この場合、2020年と2021年、どちらの医療費として考えるのでしょう?
答えは、支払が発生した2021年です。
医療費控除の対象となる医療費は対象期間に支払った医療費であり、請求の発生日を問いません。そのため、請求日と支払日がいくら離れていても、支払日を基準とします。
医療費控除は会社員でも確定申告が必要?
医療費控除を受ける場合、会社員でも確定申告が必要となります。
会社員には、所得税を事業者が調整してくれる年末調整制度がありますが、年末調整で医療費控除は対応できません。あくまで医療費控除を受けたい本人が確定申告をする必要があります。
領収書を無くした場合再発行はできる?
医療費に関する領収書を無くしてしまった場合、再発行の可否は各医療機関によって異なります。領収書の再発行は不正利用に繋がる可能性もあるため、再発行に対応していない医療機関もあるのです。
もし、領収書の再発行ができない場合は、支払証明書のような、領収を証明する書類を発行できないか問い合わせてみましょう。
セルフメディケーション税制との併用はできる?
医療費控除と似た制度に、ドラッグストアで購入できる市販薬・「一般用医薬品(OTC)」を購入した場合に適用されるセルフメディケーション税制があります。
ここで注意してもらいたいのが、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないという点です。医療費控除とセルフメディケーション税制は選択式になっており、どちらか一方しか適用を受けることはできません。
セルフメディケーション税制の医療費控除額は、実際に支払った購入費から12,000円を差し引いた金額で、上限は88,000円です。
なお、セルフメディケーション税制を受けるには一定の条件があります。検討している場合は、下記解説ページの「2 セルフメディテーション税制の適用を受けるための要件」を参照してください。
No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】(国税庁)
医療費控除の申請は年々簡単に!
以前はとっつきにくかった医療費控除も、確定申告書等作成コーナーの登場で手軽にできるようになりました。手続きも年々簡単になっており、以前に比べて申請のハードルはかなり下がっています。
医療費控除は国民誰もが使えるあたり前の権利です。手続き一つでまとまったお金が戻ってくることもありますので、この機会にやってみてはいかがでしょうか。
戻ってきたお金はご褒美に使うもよし、積み立てに回すもよし。
医療費控除で皆様の大切な収入を守りましょう!
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からNISA・ジュニアNISAやiDeCo/イデコ・企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
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