財務諸表(ざいむしょひょう)は、自分の気になる会社についてもっともっと知りたいというときにとっても便利なツールです。
以前の記事「本物の財務諸表を見てみよう!(貸借対照表 その①)」で、本物の貸借対照表(たいしゃくたいしょう ひょう)に挑戦しました。
「その①」はこちらから。
今回の記事「その②」に入る前に、本物の「貸借対照表」の全体像をもう一度見ておきましょう。
その①に引き続き、2020年度3月期の「株式会社モスフードサービス」の貸借対照表です。
(文字が小さくて見えにくい場合は画像をクリックしてください。)
”本物”ってそれだけでパニックを起こしてしまいそうになりませんか?
なんて。
「その①」のおさらい
ここで思い出してほしいことが。
その①で、「財務諸表(ざいむしょひょう)」は見る人・使う人への思いやりでできているとお伝えしました。
そんな思いやりの1つが「貸借対照表」を「資産」「負債」「資本」という区分に分けるということでした。
その②では、「資産」「負債」のさらに下の「グループ分け」について一緒に見ていきたいと思います。
ポイントはやっぱり見る人のため…ということです。
「なんだ!そんだけのことか…」と思ってもらえるように、出来る限り分かりやすく簡単にを心がけて説明していきます。
(分かりやすく簡単にするために、細かい説明やルールについては一部省きながら進めていきます。ご容赦ください。)
以前の記事「【投資初心者・未成年者向け】財務諸表ってなに?」はこちらから。
ハンバーガー屋さんの持ち物は「資産」の区分のどこにある?
ハンバーガー屋さんの持ち物のうち、「資産」の区分に入るのは次の3つでした。
お店、冷蔵庫、現金の3つ。
この3つは「資産」の区分の中のどの項目に入るでしょうか。
「貸借対照表」1枚目の「資産の部」の上半分を拡大してみましょう。
出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとに作成
上から順に見ていくと、上から数えて3行目に「現金及び預金」が見つかります。
少し下の方へ行くと、「建物」が。
そこからさらに下に「工具、器具及び備品」がありますね。
ハンバーガー屋さんのお店は「建物」の項目に。
それからちょっと堅苦しい言葉になっていますが、「工具、器具及び備品」に業務用冷蔵庫です。
「資産」「負債」にはさらに各々「流動」「固定」の2つのグループがある
では、ここで改めて上から順にリストを眺めてみてください。
「流動(りゅうどう)資産」「固定(こてい)資産」という文字が見つかりましたか?
出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとに作成
「貸借対照表」には「資産」「負債」「資本」という3つの区分があると説明しました。
そしてこのうち「資産」「負債」の中には、さらに各々「流動」「固定」という2つのグループがあるんです。
これを意識しながら、「資産」に区分された3つの持ち物の行き先をもう一度見てみましょう。
「資産」に区分されているのは現金・お店、冷蔵庫の3つ。
この3つは「資産」の中の「流動」と「固定」、どちらのグループに入っていますか?
出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとに作成
現金は赤い点線の「流動」資産。
お店と冷蔵庫は、黄色い点線「固定」資産のグループですね。
「資産」の「流動」と「固定」は1年以内に現金になるかどうか
では、「資産」の「流動」と「固定」はどんな風に決まっているのでしょうか。
ざっくり言うと、その「資産」が1年以内に『現金』になるかどうかでグループ分けされます。
お金がハンバーガーになり、またお金に戻る
「資産」が『現金』になるとはどういうことでしょうか?
ハンバーガー屋さんの例で考えてみましょう。
起業家さんが1,000円のお金で、ハンバーガーを作るためのパンとお肉、レタスとトマトを購入しました。
キッチンで調理してハンバーガーの形にしてお店に並べました。
お店に来たお客さんが、ハンバーガーを1個200円で5個買ってくれました。
起業家さんはハンバーガーを5個渡して、かわりに1,000円を受け取りました。
では最初からイラストを並べてみましょう。
お金がレタスやトマトに変身。
調理することでハンバーガーになりました。
さらにお客さんに売ったことで、最後はまたお金になりました。
この流れは明日も明後日もお店が続く限り続いていきます。
こんな風に止まることなく、お金から物、物からお金へと1年を通してずーーっと循環している。
これが「流動」資産のイメージです。
それから、ハンバーガーを作って売るというハンバーガー屋さんのメインのお仕事の流れの中で循環している物だけでなく、短い期間でお金に姿を変える予定の物も「流動資産」です。
短い期間とは具体的には、「1年」。
今はお金の姿でなくても、1年以内にお金に変わるものなら「流動資産」のグループです。
お店や冷蔵庫は「固定」資産
では、お金になるまでに1年以上かかりそうなものはどうなるのでしょうか?
こちらは「固定資産」のグループにしましょうね、と決まっています。
貸借対照表では、ハンバーガー屋さんのお店(建物)、それから冷蔵庫が「固定」資産のグループに入っていましたね。
出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとに作成
「流動資産」であるトマトやレタスとどう違うのでしょうか。
「固定」資産はしばらく「お金」に戻れない
トマトやレタスのように、お店も冷蔵庫も、スタートは起業家さんが持っていたお金です。
そして、もちろん建物やお店も誰かに売ってしまえばお金に戻すことも出来ます。
ただ、お店や冷蔵庫はハンバーガー屋さんを続けていくために必要な物。
起業家さんは、来年もハンバーガー屋さんを続けていくつもりですから売ってしまうわけにはいきません。
ということは、しばらくは…少なくとも来年は、お店や冷蔵庫に使ったお金はお店や冷蔵庫の姿のまま…ということになりますね。
これが「固定」されているということ。
しばらくは冷蔵庫でいないといけないので、お金に戻れない…ということです。
言葉のイメージから考えてみても、「流動」は流れて、動く。
「固定」は、その状態のまま固まって動かない…そんなイメージが浮かびますね。
「負債」の「固定」と「流動」はお金を返す約束が1年以内かもっと先か
ここまで「資産」の区分のお話をしてきましたが、「負債」の方はどうなるのでしょうか。
「負債」も考え方は同じです。
「負債」とは簡単に言うと、お金を返したり、支払ったりする約束のこと。
起業家さんは銀行からお金を借りていました。
借りたものは、当然いつか返さなければいけませんよね。
その「いつか」が1年以内なのか、それとももっと先なのか。
「いつか」が1年以内なら「流動」負債、もっと先なら「固定」負債です。
起業家さんが借りたお金は、「流動」負債?「固定」負債?
では、起業家さんが銀行から2号店の出店のために借りたお金。
これは「流動」負債・「固定」負債のどちらでしょう?
ちなみに起業家さんは…
と言っていました。
1年より後に返す約束をしているので、これは「固定」負債になりますね。
「貸借対照表」には「借金」ではなく「借入金」という名前で載っています。
ではもう一度「貸借対照表」を見てみましょう。
出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとに作成
固定負債の区分のすぐ下に『“長期”借入金』が見つかりましたか?
「長期借入金」は1年を超えて返す約束をしている借金という意味です。
起業家さんが銀行から借りたお金は、「固定負債」のグループの中に「長期借入金」という名前で載っていることが確認できました。
まとめ
今回はここまで。
最後にもう一度、「資産」と「負債」の区分に入るハンバーガー屋さんの持ち物4つを「貸借対照表」で確認しておきましょう。
出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとに作成
「資産」の区分に、お店と冷蔵庫と現金。
そして「負債」の区分に、借金でした。
この「資産」「負債」の区分には、さらに「流動」と「固定」という区分がありましたね。
出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとに作成
今回のポイントは2つ。
- 「資産」「負債」はさらに「流動」「固定」の2つのグループに
- 「流動」「固定」は『現金』の出入りが1年以内or1年超
長々と説明してきましたが、やっぱり「貸借対照表」は、単なる「持ち物一覧表」。
ぐちゃぐちゃだと分かりづらいので、「資産」「負債」「資本」の3つに分けて、さらに「資産」と「負債」は「流動」と「固定」にグループ分けをしてみました、というだけのお話です。
このルールを会社が守っているおかげで、私たちはモスバーガーだけでなく、例えばマクドナルドでもロッテリアでも、さらには全然違う任天堂でも同じように見ていくことが出来るわけです。
単純だけどルールがあると、とっても便利な気がしませんか?
こんな風に「資産」「負債」「資本」、さらには「流動」「固定」ときちんとグループ分けすることで読み取れるようになること、
それから、「資本」のグループの詳細については、また別の記事でお伝えしたいと思っています。
一緒に勉強を続けていきましょうね!
出典:EDINET閲覧(提出)サイト
参考:「いくらやっても決算書が読めない人のための早い話、会計なんてこれだけですよ!」(株式会社日本実業出版社/岩谷誠二)、「新・ほうとうにわかる経営分析」(ダイヤモンド社/高田直芳)
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