新年最初のコラムということで、2020年の日本と世界の重要イベントと、弊社FPが注目するポイントをお伝えします!
2020年の重要イベント
1月1日 所得税の基礎控除・給与所得控除の仕組み変更、日米貿易協定と日米デジタル貿易渠底が発行、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」運用開始
11日 台湾総統選・議会選
31日 英国のEU離脱期限
1月内 通常国会召集
2月4日 米大統領一般教書演説
3月3日 米大統領予備選「スーパーチューズデー」
5日~ 中国の全国人民代表大会
13日~ スタートアップ企業の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト」(米オースティン)
26日 EU首脳会議
4月1日 同一労働同一賃金制度が順次運用開始、働き方改革関連法が中小企業にも適用開始、大学無償化スタート
4月頃 中国の習近平国家主席が来日
4月下旬~ 3月期企業の通期決算発表
6月1日 政府指針に基づく就職活動で企業の選考活動解禁
9日 香港での大規模抗議デモから1年
10日 G7(主要7カ国・地域)首脳会議(米キャンプデービッド)
30日 キャッシュレス・ポイント還元事業が終了
7月1日 プラスチック製レジ袋の有料義務化
5日 東京都知事選
24日 東京オリンピック開会式
8月9日 東京オリンピック閉会式
25日 東京パラリンピック開会式
8月内 高島屋港南台店が閉店
9月6日 東京パラリンピック閉会式
9月頃 マイナンバーカード所有者への還元事業スタート
11月3日 米大統領選21日
21日 G20(20カ国・地域)首脳会議(リヤド)
12月31日 アイドルグループ嵐が活動休止
12月内 21年度税制改正大綱の取りまとめ、21年度予算案策定
日米欧中央銀行の金融政策会議開催日
日銀金融政策決定会合 FOMC(米連邦公開市場委員会) ECB(欧州中央銀行)理事会
1月 20~21日※ 28~29日 23日
2月 ― ― ―
3月 18~19日 17~18日 12日
4月 27~28日※ 28日~29日 30日
5月 ― ― ―
6月 15~16日 9~10日 4日
7月 14~15日※ 28~29日 16日
8月 ― ― ―
9月 16~17日 15~16日 10日
10月 28~29日※ ― 29日
11月 ― 4~5日 ―
12月 17~18日 15~16日 10日
※は日銀「展望レポート」公表(1、4、7、10月)より
日米欧GDP速報値の発表日
日本 米国 ユーロ圏
2019年10~12月期 2月17日 1月30日 1月31日
2020年1~3月期 5月中旬 4月29日 4月30日
2020年4~6月期 8月中旬 7月30日 7月31日
2020年7~9月期 11月中旬 10月29日 10月30日
弊社FPの注目ポイント
1)ブレグジット(英国のEU離脱)
昨年12月の英国議会下院総選挙でジョンソン首相率いる保守党が圧勝し、EU離脱協定案が下院で採決されたことにより、今年1月31日でついに英国はEUから正式離脱することになりました。
前首相のメイ氏は、年に3回も離脱協定案を審議にかけながら承認を得ることができず、国内世論・議会・EUとの交渉の狭間で迷走を続け、国民投票でEU離脱方針が決まってから何度も離脱延期を繰り返してきました。
最終的に国がどの方向に進んでいくか分からない状態が続き、「ブレグジット疲れ」という言葉まで生まれる中、ジョンソン氏がまとめあげたことに国内世論もEU加盟国も前向きな反応を示しているようです。
(「合意なき離脱」による大混乱を回避できたのが一番大きいですね)
為替や株価もそれを反映していて、選挙投開票翌日(12/13)のポンドは対ドルで2018年5月以来の高値に上昇。
英株の代表的指数で内需銘柄が中心のFTSE250指数は一時5.4%上昇し、輸出企業が大半を占めるFTSE100指数でも一時2%上昇しました。
日本でも好感され、日経平均は前日比+598円の2万4,023円となっています。
ただし、これから実際にEU離脱が実現した後に、世界経済にどのような影響が出るかは未知数です。
英国とEUは、ブレグジットの実現後に、関税や製品の安全基準・環境保護基準・移民管理・安全保障など様々な分野について協議を開始し、協定を結ぶ必要があります。
これまでは多国間協定で決めていたことを、英国とEUの間の「二国間協定」に移し替えなくてはならないのです。
その協定の締結期限は「2020年末まで」となっており、その行方次第では各国の貿易や物流、投資にまで影響が及ぶ可能性もあります。
英国とEUの動向は、しっかりと見守っていく必要がありそうです。
2)消費増税の影響、キャッシュレス・ポイント還元事業終了
昨年10月からの消費増税による消費低迷を避けるため、政府が導入したキャッシュレス・ポイント還元事業。
中小店舗でキャッシュレス決済をすると個別店舗で5%、フランチャイズチェーン等では2%が消費者に還元されます。
この施策は一定の効果を生んでいて、政府の想定以上にキャッシュレスで商品・サービスを購入する消費者が増えたため、追加予算を投入するほど。報道各社の経営者アンケート等でも「消費増税による売り上げ減の影響は限定的」という声が多く聞かれます。
しかし、2019年10~12月期のGDP速報値もまだ出ていませんし、消費増税の影響はじわじわと広がっていく可能性があります。
また、上記キャッシュレス・ポイント還元事業は今年6月末で終了するため、「終了前に駆け込み購入して、終了後は買い控える」といった消費行動に繋がることも十分考えられます。
そうして消費が落ち込めば、間違いなく日本経済にとってマイナスになります。
(経済・景気は、一般生活者の「消費」によって支えられているからです。)
私たちは、いち投資家として消費増税・還元策による影響は見守っていく必要があります。
また、いち生活者としても消費の影響を及ぼす施策などには常にアンテナを高くしておきたいですね。
3)東京オリンピック・パラリンピック
いよいよオリパライヤー! 選手を精一杯応援し、競技を存分に楽しみたいですね。
あしたば通信の読者のみなさんには、ぜひ「経済に与える影響」という視点でも見ていただけたらなと思います。
開催期間中のインバウンド消費(外国からいらした方々の消費)や、開催後の観光誘致等で持続的な経済活性化に繋がるかどうか、開催前の施設整備ニーズによる人手不足・資材不足による影響の反動は、などなど
「オリンピック後は景気が低迷する、不動産の価値も下がっていく」と決めつけている人も多いですが、それはちょっと偏ったお考えですよ!
ロンドンオリンピックのように、その後の経済好循環に繋げている好事例もあります。
オリパラを存分に楽しみつつ、経済に与える影響を俯瞰しながら期待も込めて見守っていきましょう。
4)米大統領選
4年に一度の米大統領選は、世界経済に極めて大きな影響を与えます。
世界1位の経済大国である米国の手綱を握る人を決める一大イベントですから、世界で最も注目を受けるイベントの一つといえるでしょう。
共和党のトランプ現大統領が再選されるのか、民主党の候補がそれを阻止するのか。
党の方針も異なりますが、民主党の候補でも人それぞれ主義・主張は異なりますので、大統領選の結果で米国の向かう先は大きく変わっていきます。
一旦“停戦”状態の米中貿易摩擦の問題はもちろん、移民政策、景気対策、環境問題への取組、日米間の貿易協定や安保問題など、全てに影響が出てくると考えられます。
3月3日の米大統領予備選「スーパーチューズデー」あたりから、演説や討論会の内容、世論調査まで、ぜひチェックしておきましょう。
5)終わりに
いろいろなポイントをお伝えしましたが、仮に株価の大きな変動や停滞が続いたとしても、長期投資家であるみなさんが一喜一憂する必要はありません。
上記による影響は一時的なものであって、「世界経済の長期的な成長」は簡単には揺らがないからです。
世界の人口はまだまだ増え続けますし、企業の切磋琢磨によりこれまでにないスピードで新技術・新サービスが登場しています。
ただ、世界経済に与える影響のあるイベントや施策・制度をしっかりと追っていくことで、間違いなくみなさんの「経験値」はアップしていくことになり、それが長い目でみなさんの資産づくり・資産運用に良い影響をもたらすはずです。
今年も一緒に、世界経済の動向を楽しみながら見守っていきましょう!