今年9月以降、世界的に株価が不安定な動きをしています。
弊社のサポートのもとで積立投資を始めたお客様は「長期視点で考えたら心配ない」と理解していただいてると思うものの、こういう時は少し不安になってしまうもの。
そこで今回は、最近の株式市場動向と今後の見通しについてFP安藤からザックリと解説します。
金融・経済に関する専門の知識や投資・運用等の経験があまりない「初心者」の方向けに書いていますので、“簡単に・分かりやすく”するために、あえて細かい用語の説明は一部省きながら進めていきます。
最近の大幅上昇・大幅下落ポイント
2021年9月3日~ 日本株の急上昇
2021年9月3日の昼頃、菅義偉首相が自民党総裁選に出馬しないことを表明すると、午後の株式市場は敏感に反応。
昼休み後から急速に上昇し、その日の「日経平均」終値は前日比+584.60円(+2.05%)の2万9,659.89円となりました。
(東証一部上場企業全体の株価平均値を示す「TOPIX」は、前日比+31.88ポイント(+1.61%)の2015.45ポイントに)
その後も上昇基調で、9月8日には日経平均の終値が前日比+265.07円(+0.89%)の3万181.21円となって、約7カ月ぶりに3万円の大台へと回復。
更に、9月14日の日経平均の終値は前日比+222.73円(+0.73%)の3万670.10円となり、1990年8月以来約31年ぶりの高値となりました。
急上昇の要因
要因としては、以下のようなものがあります。
支持率の低迷にあえぐ菅政権が1年ほどで退陣することが決まり、次期政権によって安定した政治運営がされるのではという期待。
新たな首相によって、大規模な経済対策が打ち出されるのではという期待。
先進国に比べて後れをとっていたワ
そこに、今年2月以降に欧米と比べて伸び悩んでいた日本の株価に「割安感」があったこともあり、投資家が日本株の「買い」を強めたものと思われます。
2021年9月20日~ 米国株の大幅下落
2021年9月20日、米国の株価指数である「NYダウ(ダウ工業株30種平均)」の終値は、前週末比▲614.41ドル(▲1.78%)の3万3,970ドルとなりました。
取引時間中に下落幅が一時1,000ドルに迫るほどで、少し戻したものの最終的に約2ヶ月ぶりの大幅下落に。
(米国を代表する企業500社の株価平均値を示す「S&P500」の終値は、前日比▲75.26ポイント(▲1.70%)の4,357.73ポイント)
翌日も下げて、4日続落*。
※株価が連日下落すること。
その後は少し戻しましたが、これまで7カ月連続で上昇してきた流れから一転して「軟調」となっています。
大幅下落の要因
最大の要因と言われているのが、中国の大手不動産会社である「中国恒大集団(エバーグランデ)」の債務問題による経営危機です。
約33兆円もの負債(借金)を抱える同社の資金繰りが悪化し、9月23日に期限を迎える2億3200元(約90億円)もの社債の利払いが不履行(デフォルト)になるのでは、という憶測が広がったのです。
「なんで中国の企業の経営危機が、米国の株価に影響するの?」と思われたかもしれませんね。簡単に解説しておきましょう。
約33兆円という額は、中国のGDP*の約2%に相当するほどの規模。それだけの負債を抱える中国恒大集団が破綻してしまえば、貸し手である金融機関の経営にも大打撃となります。
※その国の経済規模を表す指標
それによって金融機関が経営危機に瀕するようになれば、金融システムを揺るがす「信用不安」の連鎖が始まるかもしれません。
中国でそのような事態が訪れると、世界各国の経済・株式市場は「対岸の火事」では済みません。
いまはグローバルに経済・金融が繋がっていますし、世界2位の経済規模を誇る中国の成長が止まって投資や消費が落ち込めば、先進国・新興国・途上国を問わず全世界に波及してしまいます。(中国は世界最大規模の貿易国であり、消費国でもありますからね)
そのため、グローバルにビジネスを展開する企業が集う米国の株式市場でも、今後の経済への悪影響を不安視するムードに。株式が多く売られて大幅下落したのです。
(当然日本の株価にも影響が出て、日経平均も一時的に3万円台を割り込んでしまいました)
リーマンショックの時もそうでしたが、金融機関の破綻が世界経済に与えるマイナス影響は相当大きいのです。
単に不動産会社が破綻するかどうかではなく、その先にある金融機関もどうか、というのが今回のポイントですね。
今後の見通し
中国不動産企業の債務問題は、今後も株式市場の不安定要因に
直近の動向では、上記の米国株大幅下落の要因となった「9月23日付の中国恒大集団の債務利払い」は実施されたようで、大きなリスクは一旦回避されました。
ただ、同社が年内に残している利払い額は600億円を超える規模で、危機が完全に去ったわけではありません。
そもそも同社の債務問題の発端は、2020年に中国政府が不動産価格の高騰を抑えるために「不動産市場を締め付ける」べく出した方針によるところもあります。
中国人民銀行(中央銀行)が、大手不動産会社に対して「総資産に対する負債の比率が70%以下」といった遵守すべき財務指針を設定。
これにより、中国恒大集団のように大量の借金をすることで急成長を遂げてきた企業にとっては大打撃となりました。
急に債務比率を下げろと言われても、借金を前提とするビジネスで借金そのものが出来なくなれば、事業自体は好調でも目先の資金繰りが途絶えてしまう可能性があるからです。
中国政府の方針は当面変わらないとの予想が多く、今後中国恒大集団だけでなく他の不動産会社にも経営危機が訪れるリスクもくすぶります。
中国不動産にまつわる動向は注視しておきたいところですね。
米国の量的緩和縮小(テーパリング)と利上げもリスク要因
今後の米国中央銀行(FRB)による量的緩和縮小(テーパリング)と利上げがどうなるかによって、株価の大きな変動要因になりそうです。
あしたば会員限定のフォローアップセミナーでは細かく解説しましたが、コロナ禍に世界各国が大規模な金融緩和による経済対策を打ち出し、特にFRBは世界最大規模の対策で大量の米国債を購入しました。
これによって金利も大きく低下し、コロナ感染拡大で事業が厳しくなった経済を下支えしたわけです。
しかし、強制的に世の中にお金を供給して金利も下げるという政策は、ずっと続けるわけにはいきません。
現在米国の経済が「バブル気味」と言われる中、必ずどこかで資金供給をやめて金利も上げる「引き締めモード」に移行します。
そのタイミングを米国株式市場も注視していて、FRBも「およそこういう方針でいきますよ」という発信をしてきました。
引き締めモードになると基本的には企業の業績に悪影響で、株価も下がりやすくなります。
2021年9月22日にFRBのパウエル議長が「量的緩和を早ければ11月に縮小する」「利上げは2022年に前倒す可能性がある」と発表。
これが市場予想と大きくズレると株価が大幅に下落する可能性もありましたが、今回はほとんど影響しませんでした。(9月22日のNYダウ終値は前日比+338.48ドル)
とはいえ、高インフレ状態の米国が今後どの程度のペースで利上げをしていくのか不透明な面もあり、当面株価の大幅下落リスクはつきまとい続けると僕は考えています。
日本株は緊急事態宣言の全面解除がプラス要因
日本の株価が軟調だった理由として、長らく続く緊急事態宣言・まん延防止等重点措置があります。
経済活動が停滞し、特に飲食・小売り・旅行・航空などの業界で経営上の大打撃となるからですね。
それがおそらく10月1日以降は全面解除される可能性が高く、これは間違いなく日本企業の業績にもプラスとなり、結果として株価上昇の要因となる可能性が高いでしょう。
ただ、日本の株価は日本経済の動向だけで決まるわけではありません。
前述のように世界は繋がっており、特に米国経済・株価の影響はモロに受けます。
グローバルな視点で動向を見守る必要があるでしょう。
おわりに(積立投資で長期的に資産をふやしたい方へ)
ということで、久しぶりに株価や経済に関する記事を書きました。
あくまでも僕の私見ですので、ご参考程度としてください。(個別の金融商品の売買とか、投資行動を勧めるものではありませんよ!)
上記のようにいろんな要因で株価は動くわけですが、基本的には全て後付けでしか解説できませんから、細かく予想する必要はないですし、いろんな「専門家」のみなさんがネットや各種メディアで仰ることも話半分に聞けばOK。
積立投資をしている方(これから始めようという方)にとっては、あくまでも長期で増えればいいわけですから、目先の株価なんて全く気にしなくても良いくらいです。
とはいえ、これまでの動向をチェックし、今後どうなっていくのかを「自分なりに考える」ことは、投資経験値のアップに繋がります。
今回のようにメルマガをお送りしたタイミングでも良いですし、半年に1回・年に1回とかでも良いと思うので、経済や株価の動向・見通しについて考える機会を作ってみてくださいね。
いずれにせよ、毎度の繰り返しですが、投資で成果をあげるために一番大事なことは「長い目で続けること」
ぜひ長期視点を忘れず、一緒に投資を継続していきましょう!
不安になったり変な欲が出てきたりしたら、感情的なアクションを起こす前に、ぜひ私たちファイナンシャルプランナーにご相談ください。
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
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