「入社した時に入った持株会、今はいくらになっているんだろう?」
「現金化したいけど、手順がよくわからない…。」
そのような疑問をお持ちの方向けに、今回の記事では持株会(持ち株会、持株制度)についての基礎知識や、現金化の手順を解説していきます。
※持株会には「従業員持株会」、「役員持株会」、「取引先持株会」などありますが、この記事は主に「従業員持株会」および「従業員持株制度」についての解説です。
持株会ってどんな制度?
持株会とは、会社(子会社を含む)の従業員が株式の取得を目的として運営する組織です。持株制度は、給与や賞与から一定の額を天引きし株式を購入できる制度であり、福利厚生の一環として導入されているケースが多いです。
制度を利用するメリット
会社からの奨励金が支給されるケースが多く実際の支払額以上の株式が取得できることや、長期の資産形成に役立つことが挙げられます。
制度を利用するデメリット
株主優待が受けられないことや、売却したいと思ってから現金化するまでに時間がかかることが挙げられます。
資産状況を確認するには?
これまで積み立てた株数はどれくらいか、資産状況はどうなっているかは、年に2回配布される「投資等報告書」(名称は持株会によって異なります)を確認しましょう。
持株会によっては報告書の配布がなく、内容の照会にWebサービスを利用している場合もあるので、わからない場合は会社の人事担当者へ問い合わせてみましょう。
実際の現金化の手順は?数週間かかることも。
では実際に、利益が出ていたり、退職するタイミングで株式を現金化したい、と思った時はどのような手順を踏めばよいでしょうか。
実は持株会で取得した株式は、いつでも売却できるわけではありません。
インサイダー取引防止のため会社への報告が必要だったり、例えば決算時期は売買ができないなど、会社によって規定があったりと様々な制限があります。
また、証券口座の開設、株式の引き出し(振り替え)には時間がかかり、手続き開始から手元に現金が入ってくるまでは数週間かかることも。
※インサイダー取引について詳細はこちらをご覧ください。
まずは証券口座の開設から
持株会の株式を引き出すには、持株会指定の証券口座が必要になります。
証券口座ならどこでもいい、というわけではないのです。
もし指定の証券会社に口座を持っていなければ、まずは口座の開設を行いましょう。
特定口座と一般口座
証券口座には「特定口座」と「一般口座」があり、更に特定口座では「源泉徴収あり」か「源泉徴収なし」を選ぶことができるのですが、口座開設の目的が持株会だけであれば、個人的には「特定口座」の「源泉徴収あり」をおすすめします。
株の売却で利益が出た場合はその譲渡益に20.315%の税金がかかりますが、「特定口座」の「源泉徴収あり」を選ぶと、証券会社の源泉徴収のみで課税が完了し、確定申告等が不要になるためです。
※特定口座について詳細はこちらをご覧ください。
持株会から証券口座へ株式の引き出し
口座を開設したら、持株会から証券口座へ株式の引き出し(振り替え)を行います。
持株会を通じて、引き出す口数を指定しての引き出しとなります。
また、単元株数に満たないと引き出しができないので要注意です。
1単元の株数は銘柄(会社)によって異なりますが、例えば1単元が100株だとしたら、最低100株から、100株ごとの引き出しといった具合です。
持っている株数が120株だとしたら、引き出せるのは100株までとなります。
持株制度では少額から株式が買える半面、積立額によってはなかなか1単元に満たない、ということもよくあるので、実際に売却できる株数を確認しておきましょう。
会社への売却予定・売却完了の報告書の提出
会社によって規定は異なりますが、持株会の株式の売却にあたり報告書の提出が義務付けられていることが多いです。
インサイダー取引防止のため、親族に会社役員がいないか、未公表の重要事実を知ってはいないかを確認する内容が含まれています。
また、売却はその書類提出後〇日以内に行う、その日数を過ぎたら書類を再提出するなど、厳密なルールが設けられていることが多いため、内容をしっかりと確認しましょう。
売却したら改めて売却完了の報告書も提出もあると思うので、「売却して安心して忘れていた」ということがないよう気を付けましょう。
いざ注文!指値注文と成行注文について知っておこう
ここまできちんと手続きを踏んだら、ようやく売却となります。
株式の売却方法は指値注文と成行注文の2種類。
ここではその違いを紹介します。
指値注文(指し値注文)とは
売買の価格を指定して注文する方法です。
株式を売る場合は、指定する価格より高い値段の買い注文があった時に約定できます。
よって、買い注文が入らず約定できない場合もありますが、予定外に安い金額で売ってしまった、というリスクを避けることができます。
成行注文(成行き注文)とは
売買の時に値段を指定せずに注文する方法です。
株式を売る場合は、その時一番高く買い注文をしていた人と売買が成立します。
成行注文は指値注文よりも優先的に売買が成立するため、取引が成立しやすいというメリットがある半面、相場の変動によって予想外に安く売れてしまう、などといったリスクが発生する恐れもあります。
売却成立から3営業日目に振り込まれる
売却代金は登録した口座へ、原則売却が成立した日を含めて3営業日目に振り込まれます。
口座開設や社内規定の確認、事前に準備をしておきましょう
いかがだったでしょうか。
持株の現金化、意外と手続きが多いな…時間がかかるな…という印象を抱いた方も多いのではないかと思います。
持株会自体は長期資産形成向きの制度ですし、思い立って現金化する、という機会はそう多くないでしょう。
しかし、いざという時のために、指定の証券口座の開設や社内規定の確認等は進めておいて損はないと思います。
今回の記事が、そのような機会のためにお役に立てたら幸いです。
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