国の制度

企業型確定拠出年金(DC/401k)「給与原資型・選択制」の注意点

勤務先の確定拠出年金(DC/401k)は選択制のようだけど、加入する場合の注意点が知りたい。

「勤め先の確定拠出年金制度に入ると税金・社会保険料がお得みたいだけど、デメリットもある?」

この記事は、そんな疑問・ニーズにお応えする内容です。

前回に続き、勤務先の企業型確定拠出年金(=企業型DC)「給与原資型・選択制」の場合を想定して、「加入する時のデメリット・注意点」について解説します。

※これ以降、確定拠出年金のことを「DC」(Defined Contributionの略)と表記します。

※「給与原資型・選択制」の活用法ついて確認したい方はこちら↓

企業型確定拠出年金(DC/401k)「給与原資型・選択制」の活用法「勤務先の確定拠出年金(DC/401k)は選択制のようだけど、加入すべきかな?金額もいくらにしよう…」 「勤め先の確定拠出年金制度に入ると税金・社会保険料がお得みたいだけど、どれくらいのメリットがあるの?」 この記事は、そんな疑問にお応えする内容です。...

正直なところ、一般的な制度説明チラシやネット上の記事など他では書かれていない視点も取り入れています。

私たちは「FP兼 金融証券仲介業者(IFA)兼 保険代理店」として現場で実務をこなしているから、お伝えできるのです。

「勤務先に給与原資型・選択制の企業型DCがある」という方にとっては必読のテーマですので、ぜひ最後までお読みください!

(とにかく、“簡単に・分かりやすく”いきたいと思いますので、細かいルール・用語の説明は一部省きながら進めていきます。ご容赦ください。)

加入した場合のデメリット・注意点

前回の記事で解説しました通り、企業型DCは「収入にカウントされない」「手数料が会社負担」というiDeCoにない”企業型DCならでは”の大きなメリットがあります。

よって勤務先に企業型DCがあるのであれば、基本的には「活用した方が良い」ケースがほとんどです。

しかし、「メリットしかない制度」は存在しませんので、加入した場合のデメリット・注意点も確認しておきましょう。

社会保険料の負担軽減はデメリットにも繋がる

こちらも前回の記事の繰り返しになりますが、企業型DCの掛け金に回した分は「収入にカウントされない」ことになるため、給与原資型・選択制の企業型DCに加入した場合は、

「DCで積み立てた分だけ、収入を低く抑えることができる」ことになります。

税金・社会保険料は「収入が高ければ高いほど負担が大きくなる」仕組みなので、収入を低く抑えることができれば当然、「税金・社会保険料の負担も軽減される」ことになる。のでしたね。

これは目先の負担軽減という意味では大きなメリットなのですが、「社会保険料の負担が減る」点はデメリットにも繋がります。

なぜなら、「社会保険料は負担する金額が大きいほど、見返りも大きい制度」だからです。

将来の年金や傷病手当金・失業給付などが減る可能性もある

社会保険料は、その人の収入に応じて「等級」というテーブルが決まり、「等級が高いほど負担は大きく、低いほど負担は小さくなる」仕組みです。

(厚生年金・健康保険それぞれで内容が異なるのと、自営業の方などが加入する国民年金・国民健康保険はもっとややこしいので、詳細の説明は省きます。)

この等級が高いと負担は大きくなる反面、「将来もらえる年金」や「病気・ケガで働けなくなった時の傷病手当金」「職を失った時にもらえる失業給付」が大きくなります。

給与原資型・選択制の企業型DCで「収入を下げる→社会保険料負担が減る→等級も下がる」ことになり、上記の給付が減ってしまうのです。

では一体どれくらい減ってしまうのか、前回の記事でメリットを解説した時と「同条件」でシミュレーションしてみましょう。

シミュレーション

従業員Aさん 30歳 月額給与25万円(源泉徴収前の支給金額)

①全額の25万円を給与で受け取ってから、毎月2万5,000円を貯金する場合

②毎月2万5,000円を企業型DCに拠出し、残りの22万5,000円を給与で受け取る場合

今回は分かりやすくするため、30歳~60歳まで上記条件でひたすら貯金orDC拠出を続けた場合と仮定します。(賞与は考慮しません。)

また、イメージだけ掴んでいただくために配偶者控除や医療費控除など上記以外は全て同一条件・国の制度も「ずっと今と同じ」という前提で比較してみます。

①の場合(企業型DCに加入しない)

将来もらえる老齢厚生年金(1年あたり):約512,000円

病気・ケガで働けない時の傷病手当金(1日あたり):約5,800円

職を失った時の失業給付の算定基礎となる賃金日額:約8,300円

②の場合(企業型DCに加入・2等級ダウン)

将来もらえる老齢厚生年金(1年あたり):約433,000円

病気・ケガで働けない時の傷病手当金(1日あたり):約4,900円

職を失った時の失業給付の算定基礎となる賃金日額:約7,500円

①②を比較すると

いかがでしょう? それなりの差と感じる方も多いのではないでしょうか。

年金の差額(1年あたり):約▲79,000円

傷病手当金の差額(1日あたり):約▲900円

失業給付の賃金日額の差額:約▲800円

特に年金の差額は、老後に受給し始めてから「一生涯、その差が続く」ことになるので、強く認識しておくことをお勧めします。(65歳~90歳までと仮定すると、単純計算で197万5,000円!)

DC拠出のメリットも大きいのでご安心を

上記だけ見ると、「DCには加入しない方が良いのでは」と感じるかもしれませんね。

大丈夫です! やはりメリットも十分にありますから。

前回の記事でシミュレーションした通り、1年あたりの税金・社会保険料負担の差額は年間約96,000円です。

それを先ほどと同じく30歳~60歳まで30年間で累計すれば、単純計算ですが約288万円ものメリットを得られます。

また、企業型DCの拠出に回した分の累計額も約900万円となり、その上で投資・運用の成果も十分期待できます。

上記デメリットを十分理解した上で、ぜひ企業型DCを活用していただきたいと思います。

原則60歳まで中途引き出し不可

毎度の繰り返しになりますが、DCは原則60歳まで引き出しができません。(企業によっては、65歳の場合もあります。)

なので、日々の家計を圧迫し過ぎるほどの金額をDC掛け金に回すことは、避けるようにしましょう。

ただし、iDeCoに関する記事↓でも解説していますが、「引き出せないことによるメリット」もあります。

「出せないことによって、確実に老後資金を積み上げていくことができる」からです。

その”強制力”は、ぜひメリットして上手に活用していただくことをお勧めします。

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金額変更はできるが、原則ストップ(拠出停止)はできない

前回の記事でも解説しましたが、年1~2回程度*1は金額変更が自由にできます。

ただし、原則としてストップ(中断・停止)はできず、最低でも3,000~5,000円程度*2は拠出を続ける必要があります。

※1・2 企業によって異なります。

この点は認識しておくようにしましょう。

転職・退職時にポータビリティはできるが、コストは負担することになる

こちらも前回の記事で解説しましたが、DCは転職・退職しても貯まった積立金を自由に持ち運ぶことができます。(ポータビリティ)

ただ、ポータビリティをする時に一定のコストを国民年金基金連合会や運営管理機関に支払う必要が出てきます。

この点も念のため、おさえておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

メリットの大きい制度・商品を活用する時は「しっかりとデメリット・注意点も認識した上で」ということを、いつも私たちはお客様にお伝えしています。

ただ、デメリットばかり気にして加入を迷っているうちに、「どんどんメリットを取り逃がしてしまう」可能性もありますね。

それは非常にもったいないこと!

ですので、ぜひ今回の記事をご参考の上で「メリットの大きい企業型DC」を存分に活用していただきたいと思います。

記事でシミュレーションした内容はあくまで概算ですし、全ての人に当てはまる内容ではありません。

個々人の事情をふまえた具体的な活用法については、ぜひ私たち「DCに力を入れているFP」にご相談くださいね。

弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、5年前の創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています

収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なiDeCo活用法と注意点から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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