時事ネタ

8月の株価を振り返って

(投稿日:2020年9月2日)

9月に入り、ようやく暑さも少し和らいできましたね。

近頃の話題は、安倍首相の辞任表明を受けての内容で持ちきりですが、ザックリと8月の株式相場を振り返ってみたいと思います。

2020年8月の主要な株価指数の動き

私たちが皆様の「投資・運用を生活に取り入れた、長期的な資産づくり」をサポートするうえで、必ずチェックしているデータに「主要な株価指数」があります。

株価指数を見ておくことで、株式市場全体の状況・流れを掴むことができるためです。

いつも通り、日本だけではなく世界に目を向けて、先月の株価の動きを見ていきましょう。

※そもそも「株価指数とは」というテーマについては、こちら↓の記事をご確認ください。

「株価指数」とは(日経平均やNYダウって何?) 「日経平均やTOPIX(トピックス)という単語を耳にするけど、何のこと?」 「NYダウ、S&P500、ナスダックは...

① 日経平均株価

7月末 21,710.00円

8月末 23,139.76円 +1,429.76円(▲6.59%)

② TOPIX(東証株価指数)

7月末 1,496.06ポイント

8月末 1,605.87ポイント +109.81ポイント(+7.34%)

③ マザーズ指数

7月末 958.23ポイント

8月末 1,121.64ポイント +163.41ポイント(+17.05%)

④ NYダウ(ダウ平均株価)

7月末 26,428.32ドル

8月末 28,430.05ドル +2,001.73ドル(+7.57%)

⑤ S&P500

7月末 3,100.29ポイント

8月末 3,500.31ポイント +229.19ポイント(+7.01%)

⑥ ナスダック総合 

7月末 10,745.27ポイント

8月末 11,775.46ポイント +1,030.19ポイント(+9.59%)

⑦ 上海総合 

7月末 3,310.01ポイント

8月末 3,395.68ポイント +85.67ポイント(+2.59%)

ザックリとした市況分析

全体的に8月の株価は好調

ご覧のとおり、どの指数も前月末比でプラスになっています。

一言でいえば、「この1か月の株価は好調だった」ということになるでしょう。

牽引役の業種はIT・半導体・デジタル

その中でも、日本のマザーズ指数・米国のナスダック総合が特に好調。これらは新興市場に上場する株式の平均価格です。

コロナショック直後の3月末比だと、マザーズ指数は+501.55ポイント(+80.88%)、ナスダック総合は+4,075.36ポイント(+52.93%)となっており、

ナスダック総合に至ってはコロナ前の株価に戻したどころか、史上最高値を更新しています。(マザーズ指数も最高値圏)

コロナ禍で躍進しているIT企業等が多く含まれているので、市場全体を引っ張っているという要素が大きいと考えられます。

企業の業績は悪化しているのに、なぜこんなに好調なのか?

新型コロナウイルスの影響により、各国の経済と企業の業績は大ダメージを受けています。

2020年4~6月期のGDP速報値は、日本が前年同期比▲27.8%、米国が▲32.9%、主要国全体で▲9.1%となっており、戦後最悪の状況です。

また、8月上旬に発表された各企業の4~6月期決算も非常に厳しく、日本の上場企業は全体で純利益が▲57%、世界全体で見ても3社に1社は赤字に転落したという調査結果もあるほどです。

こんな状況にも関わらず、なぜ株価は好調なのでしょうか?

主な要因は、株式市場が「アフターコロナの業績回復を織り込んでいるから」です。

これまでの記事でも再三触れているお話しですが、株値は「2~3年後、長ければ5~10年後の将来の起業業績を織り込んで(予想して)、決まっていく」という性質を持っています。

よって、上記のように「現在、厳しい状況に置かれている」時でも、「将来は回復・成長を遂げているだろう」と多くの投資家・運用関係者が予想するのであれば、株価は上がっていくのです。

このように、経済情勢・企業業績と株価は「連動するとは限らない」という関係性がありますので、ぜひ覚えておきましょう。

ピンチをチャンスに変えている企業もたくさんある

もちろん、将来期待だけで株価が上がっているわけではなく、実際にコロナ禍で業績を伸ばしている企業も多く存在します。

キーワードは「巣ごもり消費」や「テレワーク」

例えば、任天堂は「あつまれ どうぶつの森」(通称:あつ森)が大ヒットした影響もあって、2020年4~6月期の売上高は前年同期比+108.1%の約3,581億円、営業利益は前年同期比+427.7%の約1,447億円と、驚異的な好業績を叩き出しています。

他にも、ビデオ会議システム「ZOOM」を運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは、5~7月期決算の売上高が前年同期比の4.6倍、2~4月期決算比でも2倍超となり、安全性の問題を乗り越えて躍進しています。

コロナを機に様々な分野でデジタル化が進むことで、生産性の向上や新技術・新サービスの登場による更なる経済成長への期待も高まっているといえるでしょう。

今後の見通し

短期的には楽観視できず、変動幅が大きくなる可能性も

短期的には、楽観視できないと考えています。

一番の理由は、コロナの業績に与える影響が読み切れないことでしょう。

冬には気温低下によって第二波・第三波が来る可能性も高く、移動・外出の制限等でどれほど消費に影響が及ぶのかは、だれにも分かりません。

株式市場はワクチン&特効薬が開発された後の「アフターコロナ」を織り込んでいますが、目先の影響は計り知れないので、経済指標や企業業績の公表値・予想値が更に落ち込んだ場合には、短期的に大きく株価が変動する可能性もありそうです。

次期首相も米大統領選も、気にし過ぎない方が賢明

なお、個人的には政治的な出来事が与える経済への影響は、あまり気にしなくて良いのではという見解です。

安倍晋三首相が辞任意向を示す会見をした直後、日経平均は前日比で一時614円も急落しました。しかし、次期首相候補の金融緩和政策の維持方針等をふまえ、数日で株価は戻しています。

(一時的な急落は、機械取引=アルゴリズム取引による影響が大きいと言われています。)

米大統領選も11月3日に控えていますが、共和党の現職トランプ氏が勝つか、民主党のバイデン氏が勝つかによって株価がどうなるかは、だれもカンペキに予想できるものではありません。

トランプ氏の方が企業減税を推進しているから、勝ったら株が上がる!みたいな予想はもっともらしいですが、外れる可能性も十分にあります。

いつの時代も、株価の短期的な動きは「後付けでしか説明できない」ため、あまり細かく予想しても仕方ないのです。

ただ、前述のコロナの影響が不透明なことに加え、上記政治イベントもあるため、やはり短期的に「株価の変動が大きくなる」可能性は高いと思われます。

変動が気になる方は、まとまった金額の一括投資(スポット投資)をするのは避けるべきタイミングかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

あえて毎月初めに株価を振り返っていますが、本当は、短期的な株価の変動はあまり気にする必要がありません。

それよりも、5年・10年もしくはそれ以上の長期的視点で、「世界全体の経済が成長するのか・企業が利益を生み出していくのか」を見ていくことが遥かに重要です。

もちろん、株価を見ることで経済の流れを見る“投資の経験値”が養われることは間違いないので、ぜひ気軽な気持ちでチェックしておくようにしてください。

この記事を読んでくださった一般生活者の方が「長い時間をかけて資産を育てること」に、少しでもお役立ていただけたら幸いです。

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