FIRE(ファイアまたはファイヤー)という言葉を耳にするけど、なにを指すもの?
早期退職したいけど、FIREとは違う?
この記事は、そんな疑問にお答えする内容です。
2010年代に米国から欧州、日本まで先進国において広範囲に巻き起こった「FIREムーブメント」という現象があります。
現代資本主義によって生じた格差など様々な問題から1つのムーブメントとして沸き起こったものでもありますが、そもそも何のか?について今回は解説したいと思います。
FIRE(ファイア・ファイヤー)とは
FIREは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとった造語で、「経済的自立」と「早期退職(リタイア)」を意味する言葉です。
定義づけは提唱するメディアや実際にそれを目指す人によって様々ですが、、、
一般的には、20~30代のうちからせっせと貯蓄・資産形成に励み、40~50代で「保有資産から生まれるリターン(利回り)だけで暮らしていける状態」を指しています。
具体的には、「4%ルール」を掲げているファイナンシャルプランナー(FP)や金融機関が多い傾向にあります。
※米トリニティ大学の教授グループが発表した資産運用に関する研究結果がもとになっているようです。
仮に保有資産が1億円あって年利回り4%で運用することができれば、年間400万円程度のリターンを得ることができ、普通の暮らしであればその範囲内で生活費をまかなうことができるので、労働収入無し(=全く仕事をしない)でも資産を目減りさせることなく生きていくことができますね。
多くの場合、FIREはこの状態をいかに早く実現できるかという点にフォーカスしています。
FIREの実現には投資・運用が欠かせない
若いうちからとにかくお金を貯めこめば、若いうちにリタイアして持っているお金を取り崩しなら生活していけるかもしれません。
しかし、ただ単純に貯めこむだけではそれは難しいのが実情です。
例えば、現在の一般的な金利0.001%の普通預金口座で積み立てをしていく場合、20年かけて3000万円を貯めるには「年間150万円」を口座に入れていく必要があります。
かたや、仮に年利5%程度で運用できる状態で積立投資をしてくなら、「年間90万円」×20年で目標の3000万円に到達します。
毎年(毎月)の負担は1.5倍以上の差ですから、かなり大きな差ですね。
FIREは、預貯金で貯めこむだけでは達成が困難な領域であり、投資・運用でふやし、早期リタイアを実現した後も投資・運用で取り崩しなら上手に生活費を賄っていく方法・マインドを伝えているとも言えるのです。
FIREの注意点
FIREの考え方は、冒頭に記述した通り現代資本主義の格差を浮き彫りにしたものでもあります。
特に米国は格差が激しく、上位1%の富裕層が全国民の3分の1の資産を占め、上位10%では全体の70%超を占めていると言われます。
そうした状況の米国で、「したくもない仕事に就かず、富裕層のように悠々自適な暮らしを実現できるよう、若いうちからとにかく貯蓄&投資をしよう!」というマインドが広まったわけです。
こうした背景を冷静に分析すると、「仕事は辛い・厳しい・忌み嫌うもの」という前提があると思われますし、「若いうちに我慢したものが勝つ(=若い時にお金を使うのはバカだ)」という考えを前提としているように感じられます。
しかし、それってどうでしょう?
本来、仕事はそれを通じて社会課題の解決や自己実現に繋がるものですし、決して悪ではないはずです。
また、若いうちに我慢したほうが確かに貯蓄は増えますし将来ラクになるかもしれませんが、それをすることで人生の充実度は増すでしょうか?
若くて体力や勢いがあるうちしかできないこと、子供が小さいときにしか一緒に経験できないこと、親が元気なうちにしか一緒に楽しめないこと…
そうしたことは山ほどあるはずです。
若いうちからただやみくもにお金を貯めることは、仕事や大事な人と過ごす貴重な経験をないがしろにする行為なのかもしれませんね。
なので、「FIREの実現=幸せな人生」とは限らないことをよくよく理解しておいていただきたいですし、ただなんとなくムーブメント=流行に引きずられるのではなく、ご自分の人生に役立てられる視点を取り入れていただきたいと思います。
終わりに
FIREの考え方自体は、実は日本人(特に会社員や公務員の方)に持っておいていただきたいと考えています。
多くの日本人は将来への漠然とした不安を抱えていますが、「経済的自立」という目標を掲げることでむやみやたらに不安を抱えることはなくなりますし、最終的に「お金に縛られない生き方」の実現に繋がると思うからです。
この点はFIREについて考える時に非常に重要な視点で、次回以降にもう少し深掘りします。
「サイドFIRE」という考え方もあり、個人的にはこれが多くの方にとって目指すべき最適解かもしれないと思うので、重点的に掘り下げていきますね!
あしたばFP・安藤
弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、創業当初からiDeCo/イデコや企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています。
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