贈与税は、親子や祖父母と孫、夫婦間で財産移動や生前贈与をする際に頭を悩ませる問題です。特に、相続税の非課税枠は年ごとに更新されるため、年末までに対応しておきたい方は多いのではないでしょうか。
しかし、贈与税は課税・非課税のルールが双方の関係によって異なるため、把握が難しいところがあります。祖父母と孫の間で大丈夫だったものが、親子間でも大丈夫とは限らないのです。
そこでこの記事では相続税のルールを親子、祖父母と孫、夫婦の3パターンで解説します。
贈与税における非課税ルールの基本
まずは贈与を行う双方の間柄に関係無い、贈与税の基本について覚えておきましょう。
贈与税のおもなポイントとなるのは以下の2点です
- 非課税限度額:相続税が課税されない限度額
- 非課税対象:贈与が発生しても課税されない対象
非課税限度額は、贈与税全体の基本ルールがあるほかに、特定の目的ごとに別途限度額が設けられていることもあります。
年間110万円までは贈与税非課税
贈与税の非課税限度額の基本は、1人につき年間110万円以下です。よく「110万円までは非課税」と言われるのは、このルールが該当します。
これは、受け取る側1人ごとの金額であり、贈る側が何人いたとしても、それらの合計額が110万円までという考え方です。
また、この110万円の枠組みは贈与の目的に縛られません。どのような目的で贈与を受けたとしても、基本的には年間110万円以下は非課税となります。
贈与税の対象にならないもの
贈与税の対象にならないものは、相続税法の中で定められた以下の12項目です。以下の項目に該当する場合、非課税限度額とは関係無く贈与税は発生しません。
- 法人からの贈与により取得した財産
- 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
- 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う一定の者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
- 奨学金の支給を目的とする特定公益信託や財務大臣の指定した特定公益信託から交付される金品で一定の要件に当てはまるもの
- 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人またはその人を扶養する人が心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
- 公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し取得した金品その他の財産上の利益で、公職選挙法の規定による報告がなされたもの
- 特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
- 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
- 直系尊属(※)から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
- 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
- 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
- 相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm
※:直系尊属とは、父母や祖父母など、自分より前の世代の血のつながった親族をいう
日常生活でよく関わるのは、8の香典・花輪代・贈答などに関する贈与です。冠婚葬祭や、お歳暮、お見舞いなどに関する贈与は原則非課税です。しかし、それ以外には多くの方が日常生活の中でよく利用する項目はありません。ほとんどの場合、贈与が発生したら基本的に贈与税の対象となるのです。
なお、親子や祖父母と孫、夫婦間での贈与は、8、9、10、11が該当します。
親子間における贈与税に関するルール
親子間の贈与に関するポイントは、おもなポイントは以下の3点です。
- 生活費や教育費などを目的とした日常的な贈与は非課税
- 結婚・子育て・住宅購入に関する贈与は一定額まで非課税
- 生活費や教育費などを目的とした一括贈与は一定額まで非課税
親子間での贈与は、基本の110万円に加えて上記の項目が非課税となります。ここでは、具体的にどのような贈与がいくらまで非課税になるのかを見ていきましょう。
親子間でも非課税額の基本は110万円
前提として覚えておきたいのは、親子間でも贈与税の非課税枠は110万円が基本だということです。これは、親子間であれば追加で110万円非課税になるわけではなく、あくまでも贈与税の基本の枠組みの中で取り扱います。
親子間だと特別な制度があるように思ってしまう場合もありますが、あくまで基本は110万円だと覚えておきましょう。
親子間で贈与税の対象にならないもの
親子間で贈与税の対象とならない項目は、相続税法に定められた12項目のうち以下の4項目です。
- 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
- 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
- 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
- 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
これらを見やすくすると以下のようになります。
- 生活費や教育費など:日常的な生活費や教育費など。生活費には治療費や養育費なども含み、教育費には通常必要と認められる学資、教材費、文具費などが含まれる
- 住宅取得資金:住宅の新築・取得・増改築などのための贈与。贈与を受けた人ごとに500万円以下(省エネ等住宅の場合は1,000万円以下)。令和5年12月31日まで
- 教育資金の一括贈与:日常的ではなく、教育資金を一定額まとめて贈与した場合。上限1,500万円
- 結婚資金・子育て資金:結婚や子育てを目的とした贈与。上限1,000万円
祖父母と孫の間における贈与税のルール
祖父母と孫の間における贈与の基本は親子間の場合と同じです。そのため、以下の3点がポイントとなります。
- 生活費や教育費などを目的とした日常的な贈与は非課税
- 結婚・子育て・住宅購入に関する贈与は一定額まで非課税
- 生活費や教育費などを目的とした一括贈与は一定額まで非課税
祖父母と孫の間でも非課税額の基本は110万円
基本の非課税限度額は、祖父母と孫の間でも110万円です。親子間のときと同様、追加で110万円の非課税枠が発生するわけではなく、贈与税の基本的枠組みである、110万円の非課税枠の中で取り扱われます。
祖父母と孫の間でのみ贈与税の対象にならないもの
祖父母と孫の間で贈与税の対象とならない項目は、相続税法に定められた12項目のうち以下の4項目です。
- 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
- 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
- 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
- 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
これらを見やすくすると下記のようになります。
- 生活費や教育費など:日常的な生活費や教育費など。生活費には治療費や養育費なども含み、教育費には通常必要と認められる学資、教材費、文具費などが含まれる
- 住宅取得資金:住宅の新築・取得・増改築などのための贈与。贈与を受けた人ごとに500万円以下(省エネ等住宅の場合は1,000万円以下)。令和5年12月31日まで
- 教育資金の一括贈与:日常的ではなく、教育資金を一定額まとめて贈与した場合。上限1,500万円
- 結婚資金・子育て資金:結婚や子育てを目的とした贈与。上限1,000万円
基本的には親子間での贈与と同様ですが、ここで気になるのは、日常的な生活費や教育費などの項目です。この項目は“扶養義務者から”と規定されており、祖父母が扶養義務者に該当しないのではないかと考える方もいると思います。
しかし、国税庁から発行されているQ&Aによれば、祖父母も扶養義務者に含む記述があり、祖父母からも問題無く日常的な生活費や治療費などを非課税で受け取ることができます。
夫婦間における贈与税のルール
じつは夫婦間でも原則贈与税は発生します。
夫婦という間柄は、基本的に生活を共にする関係であるため、贈与税が発生しないと思っている方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、すべての場合において贈与税が発生するわけではなく、日常生活に関する事項は基本的に非課税となっています。そのため、贈与税が発生する場合だけ覚えておきましょう。
夫婦間で贈与税が発生する場合
夫婦間で贈与税が発生するのは、以下の贈与税の非課税規定に該当しない場合です。
- 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
具体的な例を挙げると以下のようなものがあります。
- 110万円を超えるプレゼントの譲渡(累計)
- 口座間でのまとまった資金の移動
- 契約者と受取人が異なる保険金の受け取り
夫婦間で贈与税が非課税となるのは、あくまで日常生活で必要な範囲に収まる場合のみです。そのため、日常生活で利用しないプレゼントの譲渡は該当しません。単品で110万円を超えることは少ないと思いますが、年間の累計額が110万円を超えると課税対象となります。
また、ローンや生活費の引き落としのために行う口座間の資金移動も非課税となりますが、個人的利用を目的としたまとまった資金の移動は課税対象となる可能性があります。
保険金の受け取りで課税されるケースは、実態として譲渡に該当する「契約者と受取人が異なる場合」です。例えば、契約者と受取人が妻である保険の保険料を、夫から受け取った生活費から支払っている場合は、通常非課税になります。
贈与税の非課税枠は基本の110万円+特例の2段構造
贈与税の非課税枠は、双方の間柄に関係無い110万円の非課税枠と、双方の間柄による特例の非課税枠の2つが合わさってできています。
特に、親子や祖父母と孫、夫婦といった関係においては、贈与目的が日常生活や教育資金、結婚資金などの、社会通念上必要と認められる事項に重点が置かれていることがポイントです。
非課税枠を有効活用できるよう、また、うっかり課税対象にならないよう、それぞれの基本事項は把握しておきましょう。
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