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海外株式ファンド(投資信託)だけで大丈夫?現役資産運用担当者が気になる巷の投資行動

SNSなどで流行っている、全世界株式(オール・カントリー、以下オルカン)やS&P500の積立投資を始めたけど、今一度立ち止まって資産運用を考えてみたい。他の方の意見を参考にしたい。

この記事は、そんなニーズがある方向けの内容です。

足元、日本でもインフレが目立ち始め、SNS上においても株式投資が流行り始めております。そのなかで、SNS で話題となっている戦略は、海外株式ファンド(オルカン・S&P500)を長期積立投資することで、株価の日々の変化をマイルドにしながら、長期的な経済成長(株価上昇)を享受することを目指すものになります。

今回は、海外株式ファンドの長期積立投資を始めている方、もしくは検討している方に、実際に仕事として資産運用にも携わっているファイナンシャルプランナーから、気になっている点をお伝えし、考えるきっかけをご提供できればと思います。

足元の振り返り

世間で流行っている投資信託を改めて確認してみたいと思います。以下の通り、海外株式ファンドである、オルカン・S&P500が人気であると考えられます。

投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2023

この「投信ブロガーが選ぶFund of the Year」は、個人投資家代表の有名ブロガーさんたちが「個人投資家目線で見て、良い投資信託を広めよう」ということを企図して発表されているものです。

順位 銘柄名
1位 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
2位 <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
3位 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

みんかぶ 投資信託売れ筋ランキング

2024年1月~12月の1年間で資金流入が大きいファンドになります。

順位 銘柄名
1位 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
2位 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
3位 アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型

流行りの投資戦略

流行りの投資戦略は、海外株式ファンドの長期積立投資であり、長く少額を積み立てることで、様々な効果(「インフレ対策」・「複利効果」・「ドルコスト平均法」等)を享受できるものであり、比較的取り組みやすいものと思われます。

さらに、プロのファイナンシャルプランナーも同じ理屈で海外株式ファンドの長期積立投資を推奨している可能性もあり、まさに王道の投資戦略といえます。

わたしもこの意見に条件付きで賛成です。条件とは、自分なりの理屈や確信をしっかりともって投資を継続することです。

海外株式ファンドの不確実性

ここでは、SNSでは触れていないだろう、海外株式ファンドの不確実性について説明したいと思います。

以下の数字を御覧ください。株式の代表であるS&P500も定期的に急落時期があり、今後も30%以上の急落が数か月にわたって発生する可能性があります。

安く買える時間が増えてよかったと感じることができれば海外株式ファンドの定期的な購入を進めてもいいように思いますが、聞いている話と少し違うと感じた場合には少し立ち止まって冷静に考えてみてもいいかもしれません。

S&P500 代表的な急落局面

イベント内容(下落率、時期)
ブラックマンデー▲30%以上 1987年8月~1987年11月
ITバブル崩壊▲30%以上  2000年3月~2002年10月
リーマンショック▲50%以上  2007年10月~2009年3月
コロナショック▲30%以上  2020年2月~2020年3月

海外株式ファンドに投資する目的と根拠

ここでは、海外株式ファンドを投資する目的について説明いたします。

S&P500やオルカンに投資する目的は、ご存じのとおり、米国や世界経済の成長を享受することであります。米国や世界の経済成長に自分なりの確信をお持ちであれば、株式は経済成長を享受する代表的な金融商品でもありますので、まさに投資に値するものと思います。

しかし、もし、ここで、自分の判断基準や確信の持ち方が「SNSでみんなが良いと言っているからOK」ということに気がつかれた場合、どうすればいいでしょうか。

もちろん、自分の判断基準が「SNSでみんなが良いと言っているからOK」という判断も問題ないと思いますし、それに近しい投資戦略も実際に存在しますが、その場合、みんなが悪いといい始めた場合、できる限り速やかにだれよりも早く売却する必要があります。ただ、そうすると、長期積立投資の効果を得られなくなります。

投資目的と戦略の根拠とはなにか

ここでは投資目的と戦略の根拠に関してお話をいたします。

資産運用や投資を行う目的とはなんでしょうか。一般的にインフレ対策や老後に向けた資産形成といったコメントを見受けられます。まさにおっしゃる通りだと思います。

次に選択された投資戦略の根拠はなんでしょうか。

みなさんが老後に向けた資産形成という目的で投資戦略を考える場合、海外株式ファンドの長期積立投資を選択されることは賢明かつ勇気のある決断かと思います。その決断の際に、自分なりの確信をもって、その投資戦略が老後に向けた資産形成に資すると根拠を持っていることが非常に大事になってきます。

みなさん、海外株式に投資することに自分なりの根拠や確信はありますでしょうか。

今一度、ご自身の根拠や確信で、定期的に訪れる急落や停滞時期に耐えられるかもう一度整理してみましょう。

「海外企業や米国企業は、今後発生するだろう世界の社会課題を解決する力があり、今後も成長する余地があるため、海外株式ファンドを長期で保有することで、老後の資産形成に資する」

などの自分なりの確信がもてれば、急落や長期的な停滞が生じたとしても安く買えてラッキーと思うことができ(ストレスに耐えることができ)、長期的な積立投資戦略を貫けるのではないでしょうか。

今回は問題提起にとどめさせていただきましたが、実は投資戦略と目的は世代によって変更していく必要があると思っています。次回以降、資産運用担当者の観点から、世代別の投資戦略や目的・根拠について、整理・検討していきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(あしたばライター)

弊社横浜のFPオフィス「あしたば」は、iDeCo/イデコやNISA、企業型確定供出年金(DC/401k)のサポートに力を入れています

収入・資産状況や考え方など人それぞれの状況やニーズに応じた「具体的なiDeCo・NISA等の活用法と注意点」から「バランスのとれたプランの立て方」まで、ファイナンシャルプランナーがしっかりとアドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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