お金の基礎知識

【知れば役立つ】傷病手当金とは?わかりやすく解説

傷病手当金は誰でももらえる?

もらえる期間や金額は?

傷病手当金のことを詳しく知りたい!

この記事ではこのような疑問にお答えしていきます。

2022年10月から社会保険の適用が拡大され、条件を満たすパートやアルバイトの方なども社会保険へ加入できるようになりました。

その社会保険制度の1つである「傷病手当金」については、言葉は聞いたことがあるけれど、制度が複雑で「よくわからない」という方も多いのではないでしょうか?

実はこの傷病手当金、病気けがで働くことが出来ない時にとても頼りになる制度なのです。

そこでこの記事では、主に以下の項目について解説します。

  • 傷病手当金についての概要
  • 傷病手当金の受給期間や計算方法
  • 傷病手当金の申請方法

傷病手当金への理解を深めることで、病気やけがで働けない期間の経済的な不安を軽減できるほか、今後の民間保険の加入や見直しの判断材料にもなります。

傷病手当金とは?

傷病手当金とは、社会保険制度の中の健康保険に加入する被保険者が病気やケガで仕事を休み、給与がもらえない時に受給できる手当です。

被保険者とその家族の休業中の生活を保障するために設けられた制度です。

病気やケガで休業しなければならない時、「生活費はどうしよう…」などの不安があるとゆっくり療養もできませんよね。

そんな時に傷病手当金を受給することで、本人や家族の経済的不安を和らげることができます。

社会保険制度を詳しく知りたい方は、下記の過去記事を参考にしてください。

【基礎からおさらい】社会保険料とは 「入社前に聞いていた給与額と、振り込まれた金額が違うのはどうして?」 「社会保険料ってなに?」 特にこの春から新...

対象者

傷病手当金の対象者は、健康保険に加入の被保険者(被扶養者は対象外)です。

雇用形態(パート・アルバイト・派遣社員など)や健康保険の加入期間を問わず受取ることができます。

ただし、国民健康保険(自営業・フリーランスなど)は傷病手当金の制度がありません。

フリーランスのリスク対策を知りたい方は、こちらの過去記事を参考にしてください。

フリーランス(個人事業主)になったらやるべき、資産づくりとリスク管理 「フリーランスになったら定年は無いから、老後資金の心配はいらない?」 「個人事業主だと年金や健康保険で不利になると聞くけど...

支給金額

傷病手当金の1日当たりの支給金額は、以下のように定められています。

1日当たりの金額=支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均÷30×(2/3)
*支給開始日とは一番初めに傷病手当金が支給された日です

支給開始日以前が12か月に満たない場合は、以下のいずれか低い額で計算されます。

  1. 支給開始月以前の標準報酬月額の平均
  2. 30万円

上記の計算式から考えると、おおよそ給与の2/3が手当金として支給される計算です。

ここでは給付事例を見てみましょう。

(例)

給与月額30万円のAさんが、ケガで60日休んだ場合

(1日当たりの金額)30万円÷30×(2/3)=6,600円

(60日分の支給額) 6,600円×60日=396,000円

上記の計算のようにAさんは傷病手当金を396,000円受給できます。

しかし、ここで気をつけておきたいのは、休業中でも社会保険料がかかるということです。

「傷病手当金はすべて生活費」と考えてしまいそうですが、休業中も社会保険料が毎月かかるということを頭に入れておきましょう。

また、傷病手当金では足りない場合は毎月の固定費を見直したり、貯蓄や保険で備えるといった対策をしておくと安心です。

固定費である保険の見直しは下記の体験談記事を参考にしてください。

【実録】ガン保険、見直ししてもらったら未来が変わる!こんにちは! あしたばライターの榎本です。 突然ですが、みなさんは、ガン保険に入っていますか? また、入っていても、保障内容は本...

支給条件

以下4つの条件を満たしていると支給対象です。

1.業務外の病気やケガでの療養であること

傷病手当金は、業務外の病気やケガで療養する場合に支給対象であり、業務中の病気やケガの場合は、労働災害保険(労災)の支給対象になる点は注意が必要です。

2.病気やケガで業務ができない状態であること

病気やケガが原因で、業務ができないことも支給条件として覚えておきましょう。

業務ができない状態であることの判定は、医師の判断や仕事内容などをもとに決定されます

そのため、自己判断では決められないことを理解しておく必要があるといえます。

3.4日以上仕事を休んでいること(連続した3日間の休みがあること)

連続した3日間の休みがあり、4日以上休んでいることも条件の1つです。

業務外の病気やけがで仕事を休んだ日から連続した3日間の休みを「待機3日間」といい、この待機3日間を含めた4日目以降の休みから傷病手当金の支給対象です。

なお、3日間の待機期間を考える際には、以下の図がわかりやすいでしょう。

出典元:全国健康保険協会

上記の図のように、仮に2日間休んだ次の日に出勤し、また2日休んだとしても連続した3日間とはならず条件を満たしていません。

また、待機3日間には給与の支払があったかは関係なく、有給休暇や土日祝日も含む点を覚えておきましょう。

4.給与の支給がないこと

給与の支払いがないことも、傷病手当金の支給要件です。

ただし、給与の一部が支給されその額が傷病手当金の額より少ない場合は、傷病手当金から給与支給分を減額されるため注意しましょう。

以下の場合は傷病手当金を受けることができません。

  1. 業務中(通勤含む)の病気やケガ
    (業務中の病気やケガの場合は、労働災害保険(労災)の給付対象となります。)
  2. 業務外でも、美容整形などの病気やケガとして認められない場合は支給対象外
  3. 他の公的保障を受給している場合(一部受け取れる場合もあります)
    (例)同一の傷病での障害厚生年金、老齢年金、休業補償給付(労災)参照:全国健康保険協会「傷病手当金」

支給期間

傷病手当金は支給開始した日から、同一の傷病で「通算して1年6か月」の間受給することができます

令和4年1月1日から健康保険法が改正され、これまでの「支給開始日から1年6か月」から「通算して1年6か月」へ変わりました。

以前は、出勤して手当金が支給されない期間も1年6か月の中に含まれていましたが、変更後は出勤期間は含まれず休業期間分が通算して支給されるようになりました。

異なる傷病であれば新たに通算して1年6か月受給できます。

受給期間中に退職した場合はどうなる?

受給期間中に退職後した場合でも、以下の条件を満たすことで引き続き受給することができます

  1. 退職日までに健康保険に1年以上加入していること
  2. 退職日に傷病手当金の支給条件を満たしている、または給付を受けている
  3. 退職日に給付を受けている傷病で、引き続き業務ができない状態であること

退職日に出勤してしまうと受給できません

なぜなら、上記③の業務できない状態であるとの条件を満たさなくなるためです。

最終日だからと出勤してしまうと、その後に傷病手当金の受給ができなくなるため気を付けましょう。

傷病手当金の申請方法

では、実際に傷病手当金を受け取る場合はどのような手順を踏めば良いのでしょうか。

傷病手当金は申請しなければ受け取れず、申請が必要です。

①勤務先に連絡・相談

まずは、勤務先に長期間休む旨を連絡します。

その際に、休む期間にもよりますが有給休暇が使えるのか、それとも欠勤になるのかなど相談してみるとよいでしょう。

1日当たりの受給額を考えると、短期間の療養なら有給休暇を取得するほうが良いといえます。

②申請書類の準備

勤務先に相談した上で、次に保険者(全国健康保険協会、健康組合)へ連絡し「傷病手当金支給申請書」を取り寄せます。

なお、申請書類は以下に分かれているため、記入前にそれぞれの詳細を確認しましょう。

被保険者記入用

2枚に分かれ、氏名や受取口座などを自分自身で記入します。

療養担当者記入用

休業中に働けない状態であったことの証明として、医師に記入してもらう書類です。

場合によっては書類作成に数週間かかるため、早めに依頼するとよいでしょう。

事業主記入用

休業中に給与の支払いがないことの証明ですので、必ず事業主に記入してもらいましょう。

申請書は、勤務先が用意してくれる場合もありますが、全国健康保険協会はHPからダウンロードも可能です。

下記全国健康保険協会HPから様式をダウンロードできます。
全国健康保険協会 申請書様式

③保険者へ申請

上記の書類が揃ったら保険者へ提出し、傷病手当金を申請します。

申請は勤務先を通して行うのが一般的ですが、場合により本人が直接郵送して行うことも可能です。

書類の提出が遅くなると支給も遅くなるため、なるべく早めに対応するようにしましょう。

申請後は審査が行われ、支給が決定すると「支給決定通知書」が送られてきます。

傷病手当金の手続き期限は2年です。

それを超えると時効ですので忘れず手続きしましょう。

傷病手当金を理解してもしもの時に備えよう!

傷病手当金は、業務中以外の病気やケガで長期間にわたり仕事ができない場合に経済的な手助けとなる制度です。

受給金額もおおよそで計算できるため、もしもの時に備えどのくらい給付を受けることができるのか計算して、足りない分を貯蓄や民間保険で備えるようにしておくと安心ですね。

ただし、傷病手当金は申請しなければ受け取れず、申請は2年という期限があるため注意が必要です。

弊社FPオフィス「あしたば」では、傷病手当金などを加味しながら、働けなくなったときの備えについてもご案内させて頂くことができます。

「働けなくなったときの備えはどれくらい必要?」

「傷病手当金以外にも、民間の保険で就業不能時に備えておくべき?」

こういった悩みや疑問点をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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