FPとして

「FPを前面に出す保険代理店」の提案に怒り心頭

こんにちは! FPオフィス「あしたば」のファイナンシャルプランナー・安藤宏和です。

大阪出張から無事に戻ってまいりました^^

早速2日目レポートを書こうと思ったのですが、今日お受けした個別相談で「思うことありまくり」の出来事があったため、そちらを先に書き綴っておこうと思います。

保険のセカンドオピニオンにて

弊社では「保険のセカンドオピニオン」という個人向けサービスを提供しています。

各種保険に加入する時、保険会社や保険代理店の担当者から提案を受けるかと思いますが、どうしても「自社商品のセールス」「保険をツールに使う前提でのプランニング」というように偏りがちです。

保険会社の人が自社の商品をお勧めするのは当然ですし、保険屋さんは保険に詳しいのでそれを使う前提で提案してくるのも当たり前と言えばそうですが、

同じ保険でも複数の保険会社で比較したり、そもそも保険だけでなく別の制度や商品も含めて総合的に判断したいところですね。

「勧められるがままに加入手続きをしていいのかな?」

と疑問・不安を感じる方も多いので、そんな方にセカンドオピニオンとしてFPからアドバイスさせていただくサービスをご用意しているのです。

※詳細はこちら https://ashitaba-mirai.jp/hoken2opinion

今回は、弊社のこのサービスをWEB検索で見つけられたお客様からのご相談でした。

「FPさん提案を受けた保険」に関するご相談

今回のご依頼は、「他のFPさんから提案を受けた保険について、セカンドオピニオンがほしい」というものでした。

オンライン面談をご希望だったので、事前に提案資料の情報をご提供いただいて精査。

流し見ただけでギョッとする金額の掛け金で、「そりゃセカンドオピニオンも必要と感じられるはずだ」と思いましたが、ご相談者のニーズに合致していれば問題ない可能性もあります。

ここは冷静に。

いよいよ当日を迎えました。

まずは丁寧に現状とニーズのヒアリング

今回のセカンドオピニオンのように他社の提案に対して意見するようなケースは、普段からよくあります。

その際、僕が常に気を付けているのは「いきなり商品やプランの良し悪しをジャッジしないこと」です。

セールスパーソンは自社の取扱い商品に詳しいため、「商品のスペック」や「一般論でこのプランはどうか」みたいなアドバイスが中心になりがち。

スマホを購入しに行くと、ものすごい勢いで営業マンに商品説明を受けたりしますよね(笑)

これは保険を含めどの業界でも一緒です。

僕も元々は保険セールスなので、決してそうならないように意識しながら、まずは丁寧に現状とニーズのヒアリングをします。

現状については、家族構成、職業、収入、資産、毎月の積立、投資経験、保険、住宅ローンの有無など。

ニーズについては、将来のマネープラン、キャリアプラン、必要と考えている保障の内容などです。

ご相談者はパワーカップル

お客様の個人情報特定に繋がらないよう超ザックリまとめると、今回のご相談者はこのような状況

  • 家族構成:夫婦・子供1人(1歳)
  • 職業と収入:旦那さんが会社員・年収1000万円超、奥さんが公務員・年収600万円
  • 貯蓄額:2000万円オーバー
  • その他:住宅ローンあり、保険加入無し、投資経験なし

夫婦共働きで年収1000万円をゆうに超える、いわゆる「パワーカップル」です。

ニーズとしては、子供はもう一人ほしい、教育は進路を自由に選ばせてあげたい、老後は夫婦で楽しめるイメージ、そして保険加入目的は「今まで保険に入っていなかったので、子供が生まれたし入りたい」というものでした。

提案プランの保障額が、あまりに過大

上記ニーズをふまえると、提案プランの保障額はあまりにも過大。

提案商品の1つはこんな感じでした。

「米ドル建て終身保険・60歳払込満了・死亡保険金額約5000万円・年間保険料約130万円(米ドル建てを1ドル=130円で換算)」

正直、意味不明です。

今回のケースで旦那さんに万が一があったら、遺族年金は月20万円弱、住宅ローンの団信で月15万円、死亡退職金に企業年金の給付があります。

その上、奥さんは公務員で子育てをしながらも安定収入は確保でき、そもそも貯蓄額が2000万円オーバーで十分にあります。

このような状況で、なぜ5000万円もの保障がいるのか?

そしてそれをなぜ米ドル建てで全て用意する必要があるのか?

本当に理解に苦しむ内容でした。

「顕在ニーズ」のみを反映したシミュレーションと提案プラン

そのFPさんはかなり細かくヒアリングをしてから提案してくれたようですが、ご夫婦が話すことをそのまま当て込んだだけのシミュレーションを作り、必要保障がめちゃくちゃ膨れんでいました。

夫に万が一があった時に、以前と同じ水準の暮らしを続け、年2回は旅行に行くみたいなシミュレーション、しますかね?

そして物価上昇率も2%で固定。おそらく賃金水準の上昇や社会保険によるカバーは考慮せず。

穴だらけのシミュレーションですし、ご相談者がなんとなくイメージしている「顕在ニーズ」には対応していましたが、気付いていないけど本来は備えておくべき「潜在ニーズ」を全くと言って良いほど考慮していない内容でした。

それを前提に提案プランが作られていたので、本来必要な保障と大きなギャップが生まれていたわけです。

FPとしてコンサルティングをするなら、「潜在ニーズ」をしっかりと考慮して、本当に必要な対策・準備についてアドバイスをする必要があります。

iDeCoやNISAを活用しての「長期投資」が必要とアドバイス

今回、iDeCoやNISAを全然活用できてないお客様なのに、そのFPさんはほとんど提案してなかったようです。

このケースでは保障よりも、物価上昇(インフレ)リスク等に備えていかに「長期投資」で資産を育てていくか、の方が明らかに重要。

過大な保険の加入はお勧めせず、iDeCoやNISAを利用する優先度の方が高いこと、その理由を丁寧にご説明しました。

ちなみに、これだけ米ドル建てに寄せるのはリスク高過ぎます。

ここでは詳細は割愛しますが、購買力平価の考えに基づけば「長期的な為替リスク」は非常に恐ろしいものだからです。

このご時世で多少の通貨分散はありですが、過剰な為替リスクをとるのは避けていただきたいですね。

提案したのは「FPを名乗る保険屋さん」

そんなこんなで無事にコンサルティングが終わり、とても参考になった!と言っていただけました。

提案した人について聞いてみると、「他のFPさん」とは言いながら、会社名を聞けばすぐに分かりました。

業界で有名な大手保険代理店。なので、提案した人は「FPを名乗る保険屋さん」です。

そりゃあ保険に偏りますよね。

保有している資産や働き方などを見れば明らかに目先の保障はそこまで必要ないので、上記をしっかりアドバイスして、必要な知識・情報を提供してあげるべきでしょう。

僕も元々そうだったので気持ちは理解できますが、お客様が被害を被るようなプランは最低。

こういうケースはいまだに散見されるのですが、ほんと同じ金融業界にいる者として悲しくなりますね。

めっちゃ怒りがわいてしまいました!(もう収まりましたが笑)

もっと業界全体が良くなればと思います。僕も少なからず努力して、保険会社向けに講演活動をするなど啓蒙していくつもりです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

安藤 宏和

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