FPとして

「未来への希望」を開発した理由(後編)

こんにちは! FPオフィス「あしたば」のファイナンシャルプランナー・安藤宏和です。

昨日のブログの続編で、BtoB(法人・企業向け)の新たなサービス「未来への希望」を会は開発した理由を書き綴ります。

金融教育は「だれもやってくれない」状況

前回までに、私たちが「未来への希望」の開発を通じて解決したい社会課題として以下の2点を挙げました。

  1. 日本人の金融リテラシーが低いことで、日本経済の負のスパイラルを生んでいる
  2. 金融リテラシーが低い最大の要因は「金融教育を受ける機会がほとんどない」ことだが、金融教育を実施すべき金融業界が十分に役割を果たしていない

一般生活者からすると、小学校~大学・専門学校のステージ家庭や学校からほとんど金融教育を受けず、社会人になってから金融機関などが実施する機会に触れられないのであれば、自発的に学ぶ・情報をとるアクションを起こさない限り、金融リテラシーを高めることはできません。

とはいえ、一般的に「お金のことを学ぶ」というのは非常にハードルが高いですから、自発的にそれを行う人はほんの一握り。

しかも、リテラシーが低い状態で下手にWEBサイトやSNSにある情報を収集すると、詐欺まがいの勧誘にあうなどのリスクもあります。

なので金融教育は「だれかがやってあげる」必要があるわけですが、これまで述べたように現状はだれもやってくれません。(本来積極的に金融教育を実施するべき金融機関が、全くと言って良いほどその役割を果たしてこなかったことにも触れましたね。)

国も教育機関も金融機関も「金融教育」を実施しないなら、企業がやってあげるしかない!

そこで私たちが考えたのが、企業がやってあげてほしい!ということです。

単純に、ほとんどの人が社会人になれば一度は企業で勤めるので、その機会に福利厚生として金融教育を実施する企業が増えれば、一般生活者の金融リテラシーを高める機会が増えると考えたのです。

米国では、大手企業の80%以上が「資産形成支援ベンダー」等のサービスを活用し、福利厚生で「金融教育やファイナンシャル・アドバイザー等に個別相談をできる機会」を提供しているというデータもあります。

日本でも企業が全く金融教育の機会を提供しないわけではありません。

大企業を中心に企業型確定拠出年金(DC/401k)を導入している企業等では、一部「金融教育らしきもの」は実施されています。

ただ、ほとんどが企業年金制度や退職金制度の「説明」に終始しており、「教育」というレベルではないのが実情。

ましてや、中小企業を中心にそもそも企業年金制度や退職金制度がない企業が大多数ですから、全体で見れば金融教育を実施している企業はほとんどないと言って良いでしょう。

この状況を少しずつでも変えていくことができれば、日本人全体の金融リテラシーをきっと上げることができる!私たちはそう考えたのです。

金融機関等も企業からの金融教育をサポートしているケースもあるが…

これまで金融機関は金融教育を全くと言って良いほどしてこなかった、と書きましたが、「全く」と言い切ってしまうと語弊があります。

金融に関する様々な情報提供をして、顧客に一定程度貢献してきたのは事実でしょう。

実際、企業経営者にアプローチして従業員の金融教育実施を提案しているケースもあります。

しかしそこには大きな問題があり、そのほとんどが「商品を販売するため」なのです。

最も分かりやすい例が、僕が所属していた業界である保険会社・保険代理店。こんな流れで、無料の金融教育的な機会をフックに商品を販売するのが常套手段です。

保険セールス:「会社で金融に関する勉強会を実施しませんか?無料でお引き受けしますよ」

経営者:「え?無料でいいの?ならお願いしようかな」

保険セールス:「ありがとうございます。勉強会のあと、ご希望者には無料の個別相談を実施したいと思います。そこで保険の話が出たら、お申込み手続きを進めてよろしいですか?」

経営者:「あ~そういうことね。まあ個人の自由だからそれは任せるよ」

保険セールス:「ありがとうございます!」

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いかがでしょう?

きっと読者のあなたも保険の営業を受けたことが一度はあるでしょうから、なんとなく想像がつくのではないでしょうか(笑)

個人的には、上記のような流れで金融教育→保険販売をすること自体は悪いことではなく、セールスの方のスキルと考え方がまっとうであれば、サービスを受けた従業員にとってメリットは大きいと思います。(僕も以前はこの流れで営業活動をしていました)

ところが、問題なのはあくまでも「商品販売」を前提としていること。

いくら金融教育や相談自体が無料でも、バックに保険や証券などの売り込みがあるのが分かれば、安心して相談できない人も多いはずです。

また、金融教育や個別相談を無料にすることによって、経営者側の真剣度が低くなり、積極推進をしない傾向があります。

こうしたケースは継続的に提供される「福利厚生制度」とはいえず、あくまでも保険セールスが一時のノルマを稼ぐための「商品販売の機会」に終始してしまうケースがほとんどと考えられます。

結果として、従業員さんたちの金融リテラシーの向上には繋がりづらくなるのです。

商品販売を前提としない「純粋な金融教育」で中小企業の従業員さんをサポート!

上記のような現状をふまえ、私たちは商品を販売しない「純粋な金融教育」で勝負することにしました。

当然ながら、商品販売を前提としない以上、無料というわけにはいきません。

研修・セミナー等の金融教育も、個別相談(カウンセリング)も、報酬をいただきます。

考えてみれば提供するサービスの価値に対して報酬をいただくのは当たり前のことですから、金融業界はかなり歪んだビジネスモデルということになります。

でもそれくらい、金融商品販売による収益性が高いので、そこに注力することで成り立っているということですね。

なので、弊社の「未来への希望」のようなサービスを提供する金融機関や事業者は皆無と言って良いほど。

その分、ブルーオーシャンですからチャンスがあると思っています!!

企業側も金融教育を福利厚生制度として導入するという文化はそもそもないわけですし、必要性を感じてくださる経営者もかなり少ないことでしょう。

それもあって、高額な報酬をいただくわけにはいきません。

収益性は低くとも、中長期的な成長が期待できるビジネスモデルとして、愚直に頑張っていきたいと思います。

 

以上、長くなりましたが、「未来への希望」を開発した理由でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

安藤 宏和

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