FPとして

10万円給付金、また貯蓄に回るのか?

こんにちは! FPオフィス「あしたば」のファイナンシャルプランナー・安藤宏和です。

1ヶ月ほどブログをお休みしていましたが、再稼働させたいと思います。

今回は、11月19日に閣議決定された大規模経済対策の目玉の一つ「子育て世帯への10万円給付」についてです。

10万円給付の目的は?

今回決定した給付の目的は、新型コロナウイルスの感染拡大により食費や通信費などの出費が増加している子育て世帯を支援するため。すなわち「子育て・教育支援」を目的としているようです。

お金を配ることでコロナで冷え込んだ消費・需要を喚起し、経済を活性化させることが一番の目的のようにも見えますが、少なくとも一律10万円給付を主張し始めた与党の公明党は上記のように目的を説明しています。

しかし、その後に生活困窮世帯への給付のみを衆院選公約に掲げていた自民党と調整が難航し、最終的には所得制限を設けて給付することに。

それもあって、「経済活性化」なのか「子育て・教育支援」なのか、それとも「生活困窮世帯の下支え」なのか、とにかく目的が分かりづらいですね。

世論からも批判が噴出しましたが、給付は臨時閣議で正式決定となりました。

※所得制限の詳細はこちら

給付された10万円はどこに行く?

公明党の言うように増えた食費や通信費に充てるとなれば、日々の生活費で消えていくということになるでしょう。

しかし実際にみんなそうするかというと、違うはずです。

コロナの影響で実際に家計が大きく圧迫された世帯もあれば、そうでない世帯もいます。

僕もFPとしてコロナ禍突入後の子育て世帯の相談をお受けしていますが、大ダメージを受けたご家庭もあれば、ほぼ影響を受けていない世帯も多数。

正直なところ、肌感覚としては後者の方が多いです。

そうした世帯は10万円を何に使うと思いますか?

答えは、「おそらく何にも使わず、貯金するだけ」です。

2020年の全国民への一律10万円給付時には、7割以上が「貯金」に回ってしまったという民間の調査結果があります。

2020年度の総務省・家計調査でも、所得に対する貯蓄増加率を示す「平均貯蓄率」が前年度比+3.2ポイントで35.2%となっていて、10万円給付に限らず「貯蓄する・消費を控える」マインドが根強いことが明らかです。

今回の子育て世帯への給付も、本当に苦しい世帯が生活費等に消費する以外は、その多くが貯蓄に回ってしまう可能性が高いでしょう。

貯蓄が増えるだけでは、社会全体へのメリットは少ない

イチ個人という視点に立てば、貯蓄(=預貯金)が増えることは良いことかもしれません。

ただ、社会全体でみると「ほぼ何も生まない」というのが実情です。

お金はモノやサービスを買う「消費」に回ることによって、企業の売上・利益の源泉になり、そこから労働者の給料や企業の設備投資に繋がり、景気に好循環をもたらします。

しかし、預貯金で寝かせておいても金利もつかず、世の中にも還流せず、本当に何も生まれないのです。

今回のように国がわざわざ税金(というか借金したお金)を投じて実施する給付金で、その大半が預貯金に回ってしまったら、政策としては大きな過ちといって良いでしょう。

(確かに家計が苦しい世帯の生活費に使われるのは意義あることですが、それは「積極的な支出」ではないので、消費喚起とは言えないですね。なので、今回のように一律ではなく、生活困窮世帯にはピンポイントでもっと大きな金額で支援をするべきだと思います。)

無理に使う必要はなし!投資に回そう!!

じゃあ、今回の10万円給付はどのように使われるのが社会的メリットをもたらすのでしょうか?

結論から言うと、投資です!

消費に回るのも重要ですが、当然ながら無理に使う必要はありません。(今回の記事、無駄遣いを推奨しているわけではありませんからね^^;)

ただ貯めこむだけの「預貯金」は何も生みませんが、企業活動など必要としているところにお金を投じる「投資」は、世の中に価値を生み出します。

投資家から得たお金で企業(もしくは起業家)は人財・設備等の増強に力を割くことができ、企業としての中長期的な成長の足掛かりを作ることができます。

そうして企業が成長して利益を増やしていくと、配当や株価上昇という形で投資家に還元することができるので、投資をした人の家計も潤います。

そうなると、少し家計に余裕が出てきた世帯では旅行や電化製品などの消費を増やすことができますし、それがまた企業の利益を生み出す好循環をもたらします。

このように、10万円給付金を預貯金ではなく「投資」に回ることによって、世の中全体が潤うのです!

【安藤案】NISAとセットでキャンペーン!?

ということで、10万円給付をもらった方は、単純な貯金ではなくぜひ投資にまわしてほしいです。

でも、ただそう勧められただけではなかなか一歩踏み出せないという人も多いでしょう。

そこで一案。

いま国が積極的に推進しているNISA(一般NISA・つみたてNISA)という、投資をする際の税金がお得になる制度がありますが、これとセットでキャンペーンを実施したらどうでしょう?

給付金は「棚から牡丹餅」的な要素があるので、普段よりもアグレッシブな行動をとれる人も多いはずです。

それに加えて「税金がお得になる」という要素をしっかり理解していただき、さらに金融機関・FP等の民間が「●●をプレゼント」と畳みかければ、今まで投資に対して二の足を踏んでいた方がもっと動き出すかもしれません!

日本人は投資を始めるキッカケを掴めていない方がたくさんいます。これは非常に由々しきこと。

「10万円給付金でNISAを始めよう!」

これは真剣に国(金融庁)が啓蒙してほしいですし、そのための金融機関やFPへの支援を積極的にしてほしいですね。

変なバラマキよりも、投資の裾野を広げる方が、よっぽど効果ある経済対策になると思います。

「給付金をもらった方を投資スタートに導いたら、金融機関・FPに対し1,000円の支援金を進呈」

つみたてNISAは特に利幅が少ないので金融機関等も積極的に推進していないケースがありましたが、こうした支援があれば少なからず流れは変わります。

顧客側の生活者にとっても何らマイナスはなく、「投資を始める人・投資を勧める側・世の中全体」全てメリットを享受できるWin-Win-Winのキャンペーン!

僕は真剣に、国がこれをやったら爆発的に一般の投資家が増えると考えています!!

あくまでも僕の個人的な案ですが、こうした大胆な施策を講じることで批判の多い今回の給付も「社会的意義が大きいもの」に変わるのではないでしょうか。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

安藤 宏和

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