FPオフィス「あしたば」では、社員FPと業務委託のアシスタントFPで、毎朝日経新聞の読み合わせをしています。
最近は自民党総裁選に関する記事が多いですね。
そんな中で先日僕がとりあげたのが、2021年9月16日の朝刊・オピニオン面で日経本社コメンテーター梶原誠氏の記事に書かれていたデータ。
私たちが一般生活者の資産形成サポートに全力をあげている根拠とも言えるデータですので、簡単にご紹介します。
日本人は貯金大好き、投資意欲はあまりなし
日本人の家計資産は総額2000兆円もの莫大な資産がある中で、半分以上の約1050兆円が現預金として眠っています。
2020年2~3月に起きた世界的な株価下落「コロナショック」以来、外出自粛ムードとあいまって新たに投資を始める人が増えているものの、個人投資家が保有する日本株式は200兆円程度。
明らかに、日本人は「預貯金大好き」という志向なのです。
日本銀行調査統計局『資金循環の日米欧比較』を見ても、日本人は上記のように50%超を現預金で持ちますが、米国人は15%未満。
その分米国人は株式や投資信託等で保有し、投資・運用するのが当たり前になっているのです。
これが、この20年ほどで日米欧の家計資産の伸びで「大差」をつけられてしまった要因にもなっています。
日本人の持つ預貯金が少しでも投資に回ると、どうなる?
当該オピニオンでは、野村證券の海津政信氏の試算も紹介されています。
前述の通り日本の個人投資家が持つ株式は200兆円程度ですが、新たに現預金から200兆円が日本株式に投資されるとどうなるか?
2000年以降と同じ水準で企業が利益成長・配当等の還元を続けたという前提に立つと、家計資産全体の運用利回りが年0.5%も高まり、金額ベースで毎年10兆円も増加するというのです!
僕は普段から「どんな世代にも、長期投資が当たり前の世の中を!」という思いで活動していますが、毎年10兆円と言うのは改めてかなりのインパクトだったので注目しました。
投資なので運用成果が良い時も悪い時もありますが、年0.5%のプラスは十分に期待できる利回り。(むしろ保守的かと)
もしそうなれば家計が潤った分「もっと使おう」というマインドになりますから、当然消費が活性化されて企業の利益増にも繋がります。
企業の利益増になれば、従業員の賃金上昇にも繋がります。
そんなプラスのスパイラルで、日本の景気はもっと良くなり、今のような停滞感から脱することができるというわけです!
日本人が当たり前のように株式投資をするためには、政治の力も必要
これまで国も何もしていないわけではなく、iDeCoやつみたてNISAといった税制面から資産形成をサポートする制度を拡充し、投資の裾野を広げていこうとしています。
しかし、そのスピード感が足りないというか、国民全体にメッセージが今一つ伝わっていないように感じます。
日銀が発表した2021年1~3月期の資金循環統計(速報)によれば、家計資産は3月末時点で1946兆円と前年同月比7.1%増え、2005年以降で過去最高を更新したとのこと。
その中で、相変わらず現預金が増え続けているのです。
これは本当に由々しき事態!
にも拘わらず、自民党総裁選に出馬するメンバーはみな「金融所得への課税強化」を志向するみたいで、投資家にとってはマイナス要因となります。
個人的に富裕層への課税強化は納得できますが、単純な再分配ではなく、もっと一般家庭が気軽に投資を始めて長く続けていくための制度を拡充してほしい。ただ眠っているだけの預貯金を動かすために全力を尽くしてほしい!と考えています。
新たに発足する政権は「ハネムーン期間」と呼ばれる世論の後押しを受けやすい絶好の機会。
「貯蓄から投資へ」「貯蓄から資産形成へ」の流れを加速させるための政策を推進するよう、心から願っています。
そして私たちも改めて、一人でも多くの日本人が長期投資をスタートできるよう、情報発信とコンサルティングに全力を注ぎます!!